忘れ者

11/11
前へ
/11ページ
次へ
◇  意識が現実に戻ったとき、目の前にいた柚葉ちゃんは忍のことを抱きしめていた。 「ありがとう、お兄ちゃん」  可愛らしい声でそう言うと、今度は母親の方を向いてその胸に抱きついた。 「ごめんねママ、柚葉思い出したからね」 「……ママって、言ってくれるの?」 「うん。ママ」  声を震わせながら強く抱きしめ返す母親の目には涙が浮かぶ。  それを見て忍も透子も流れるものを抑えられなかった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加