第1話「波動」

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第1話「波動」

車通りがほとんどない道を、一台の装甲車がかなりのスピードで走っていた。 景色は鬱蒼と生い茂る木々ばかりで、建物も、外灯も、何もない。 険しい山が続いていているものの、道はほとんど直進で、頻繁にトンネルに入っていた。 今、やっと、一台の大型ワゴン車にすれ違ったが、それっきりで、他に車の姿は見えなかった。 運転席の青年が、助手席で寝ている少年の、まだ未成熟に感じさせる太ももに腕を伸ばし、軽く揺すった。 「夏希(なつき)、もうすぐ着くぞ。そろそろ起きろー」 「んーーー……まだ、ねむい……」 夏希と呼ばれた少年は、車のシートを倒し、眩しいのか、腕を目の上にのせ、寝ていた。 「んーー……」 「ほれ、チョコレート」 青年はハンドルを握りながら、個包装されたチョコレート破り、中身を出すと、夏希の口元に持っていく。 唇につんと触れ、チョコだとわかったのか、小さく口を開け、ぱくりと食べた。 もごもごとチョコレートを食べきると、先ほどとかわらないトーンでまたしゃべる。 「……状況は?」 「30分前にとった確認とかわんない」 「りょうかい……」 「うぁぁああああ!」 「やめろ!やめろぉぉおお!」 銃声や小さな爆発音がする中に、男たちの叫び声が響く。 山と山の間から、細い、小さな黒い煙が上がっているように見える。 煙が上がる場所にあるのは、この国で最も重要視されている施設、レアメタルの採掘場だった。 ここは他国との国境近くの町、本坂峠町(ほんざかとうげまち)。 国境といっても、他国に攻められ、ずるずると退き、否応なしに決められた仮の国境だった。 大国に囲まれたこの国の国境は、常に不安定なものだった。 本坂峠は、採掘場とその周辺に簡易住宅とコンビニ兼食堂があるだけの小さな町だった。 採掘場で働く技術者と、この近辺を防衛するために派遣された警備兵が住むだけだった。 採掘場の裏の林の中、小さく開けた空間に、30人ほどの男性が荷物を運んだこんだり、緊迫した様子で話をしていた。 そばには小型のワゴン車が停まっている。 一人の青年が中年の男性の肩を掴み、必死に訴えかけていた。 「逃げましょう!真司(しんじ)さん!」 「直人(なおと)がまだ中にいるんだ!俺はここに残る!」 「でも、ここにいたら、いつ敵兵に襲われるかわかりませんよ!」 「とりあえず、乗れるだけ乗って出ろ!お前も行け!」 真司は青年の背中を押し、無理矢理ワゴン車に押し込む。 定員オーバーになるほど、人を乗せ、車は走り出した。 5人ほどの人間がその場に残された。 自分たちはいつ逃げれるのか、施設はどうするのか、みなが不安に満ちた表情を浮かべていた。 ライフル銃をかかえ、迷彩服を着た警備兵に、真司が詰め寄る。 「中の人間はどうなるんだ!?」 「も、もうすぐ、防衛軍の増員が一組来ます!」 「一組だけ!?」 真司は大きな声で聞き返す。 警備兵の胸ぐらを掴む。その腕の半分は青紫色に黒ずんでいた。 「向こうは50人余りいるんだぞ!そんなんでどうにかなるわけないだろ!」 「あの、でもっ、近くでも大規模な戦闘があって人を回せな……」 大きな爆音が採掘場の方で鳴った。 その衝撃は、ここまで届き、採掘場に隣接する事務室の割れた窓ガラスが飛んでくる。 真司や警備兵たちは思わず、体を丸めるが、思ったほどの衝撃はなく、顔を上げた。 自分たちを取り囲むように、黄色の光の壁、シールドが作られ、爆発の衝撃から、自分たちを守っていた。 「誰……?」 もっと視界を上げると、木々の中に、装甲車が停まり、少年がドアを開けたまま立ち、手を伸ばし立っていた。 かなり明るい茶色の髪に、茶色の瞳。 「あんな遠くから……」 すぐに運転席から青年が降り、駆け寄ってきた。 「遅くなりました。防衛軍です」 低く、男性的な声だった。 駆け寄ってきた警備兵と視線を交わした。 「十一番隊の蓮(れん)と、こっちが夏希(なつき)です」 夏希は警備兵に目を合わせ、こくんと会釈する。 蓮は背の高い、ガッシリした体格。 短髪で、黒髪だった。 左耳には、オレンジ色に輝く宝石、プリアダーニーの小さなピアスが光る。 一方、夏希はまだ少年らしく華奢で、身長は蓮の肩ほどしかなかった。 やや長めの髪はうなじを隠し、サイドは頬にかかるほどだった。 色白で、小さな薄い唇の綺麗めな顔立ちをしていた。 白いシャツには胸に国章と、防衛軍の証に、十一番隊、十三等級を表す刺繍が施されている。 黒いスラックスの防衛軍の制服を着ていた。 「ここの警備兵班長の史晴(ふみはる)です。今、警備兵は自分を含めて5人で……」 焦った様子で、史晴は蓮に状況を説明していく。 夏希はその会話を軽く聞きながらも、周りに立って不安な顔をしている人たちを眺めていく。 見るからに青紫色に黒ずんで、毒に侵されているのがわかる人が一人。 となりの2人は、視覚ではとらえられないものの、体内に毒素を感じる。 放っておけば、やがて青紫色に黒ずみ、死ぬだろう。 夏希は、一番の重症である真司のところへ駆け寄ると、淡々とした表情で、腕に手を当てる。 「見せてください。解毒します」 「そんなことより!直人を助けてくれ!」 パニック状態の真司は、その手をばしっと振り払う。 「さっきも、扉を破壊しようと、爆発させてるんだ!このままだと、いつ扉が壊れるか……」 蓮が優しく真司の腕を掴み、ゆっくり下ろしながら言った。 「落ち着いてください。敵は技術者は簡単に殺しません。自分たちじゃ、施設を使えませんから。解毒するのは、敵の毒の傾向を知るためでもあるんです。解毒させてください」 「今はそんなことより……」 「大丈夫です。すぐですよ」 夏希は、会話を蓮に任せ、真司の腕に手をかざす。 蓮の落ち着いた態度に、真司は喚くことをやめた。 それでもまだ、気が気でないのか、口をパクパク動かしていた。 夏希の手の平から、青白い光が腕にあたり、次第に、じんじんした痛みが消えていく。 黒ずんだ色が、だんだんと薄くなっていった。 毒が、解毒されているのだった。 夏希は右手で解毒を行いながら、左の指をぴっと動かす。 空中にウィンドウが表示される。 解毒をしながら、指先を動かし、チラチラと視線を移動させ、毒の種類を記録していく。 解毒を受ける真司の目からは、はらはらと涙がこぼれ落ちていった。 「来月は5回目の結婚記念日なのに、店も予約したのに……」 夏希はその様子に気づくと、小さな声で言った。 「大丈夫ですよ」 それに続くように、蓮が振り返り、笑顔を見せた。 「記念日に、素敵ですね。四類の危険地帯に勤務してくださる方がいるから、我々も、こうして生活できているんです。本当にありがとうございます。俺らが絶対になんとかしてみせます」 「解毒終わりました」 真司は目を丸くして、自分の腕を見つめた。 色はいつもの色に戻り、痛くもかゆくもなかった。 「……ありがとう」 夏希は軽くお辞儀をすると、残りの2人の解毒を数秒で終わらせてしまった。 蓮は右耳につけたイヤホンに触れる。 指で触れると、胸元にあるマイクからセンサーで声を拾う仕様になっている。 「蓮夏(れんなつ)バディ目標地点到着。状況確認します」 『了解』 イヤホンの向こうから、男性の声が返ってきた。 それは夏希の耳にも聞こえる。 夏希は、また空中にウィンドウを開くと、小さなパネルを何度か指で押し、自分の目の前に地図を広げる。 この施設の間取り図だった。 夏希と蓮がいる場所はオレンジ色の点が点滅し、警備兵は青い点の点滅で表されていた。 一般市民である技術者たちは黒い点の点滅だった。 メイン操作室に5つの黒い点があり、その扉の前に赤い点が密集していた。 赤い点は敵兵だ。 メイン操作室からコの字型に二つの通路があり、どちらも、敵兵が見張っているようだった。 「ここの間取り図に変化はありませんか?」 夏希の少し高めで、抑揚の少ない声。 不思議と小さな声でも、透き通っているような、キラキラした宝石のような声だった。 敵の数を確認しても尚、焦った様子も、戦闘を前に興奮した様子も感じない。 史晴が答える。 「変わりないです」 「メイン操作室の扉はどうやったら、開くんですか?」 「中からしか開けられない。外からは一切開かないようにセキュリティを変えたんだ」 時間がないため、史晴が早口で説明する。 「敵兵はあまり統率がとれていない感じで、フリデット軍の指揮官はいるが、目立たず、多数いるタスゴナガル軍の兵士は従ってはいないようです」 「タスゴナガル軍、お得意の単発チャレンジ奇襲って感じか」 「なんですか、それ」 「最近、多いんですよ。タスゴナガルの末端の兵士が、無計画に奇襲をしかけてるの。おそらくフリテッド軍の視察に便乗してきたんだろうと思います。これで、戦果が出れば、一気に昇進できるらしいですよ」 蓮と史晴の会話をよそに、夏希は淡々とパネルを操作しながら、施設の図面を確認していく。 タグゴナガル帝国は海を挟んで対立する軍事大国だ。 フリテッド・キングダムは陸続きの隣接する国。 二国は連合を組み、この小国、五つが原(いつつがはら)共和国と戦争中だった。 ウィンドウから顔を上げ、夏希が問いかける。 「監視カメラの映像は見えますか?」 「はい」 警備兵が自分の腕についた機械を操作し、監視カメラの映像を空中に映す。 メイン施設前のエントランスに、数人の敵兵が確認できた。 鮮明に映すカメラは敵兵の小さな動きや、表情までも読み取れる。 奇襲が成功し、若干気を緩ませているようにも見える。 しかし、一部の敵は、進展しない現状に苛立ちを見せているものもいる。 すべての確認が終わると、夏希はイヤホンに指を当てた。 「夏希です。状況を報告します。メイン操作室内に技術者5名が籠城状態。メイン操作室前の扉に、敵が構えています。 総勢53名。内訳は、タスゴナガル軍、48名。フリデッド軍、5名。 毒の種類は10系統のD型、H型。 以上です」 イヤホンの向こうから、先ほどと同じ男性の、低く少しこもったような声が聞こえた。 蓮もイヤホンに手を当て、聞く。 『了解。警備兵のやつらには、お前らの指示に従うように、命じてある。遠慮なく頼め』 「はい」 『悪いが、こっちも手一杯で、これ以上お前らに時間割いてやれなさそうだ』 ほんの一瞬、間が開き、淡々としながらも、少し芯を帯びた声が聞こえた。 『やれるか?』 「やれます」 蓮が即答した。 『夏希』 「やれます」 夏希も同じように返す。 『わかった。多少、設備に損害が出ても構わない。生きて帰ってこい』 「「了解」」 蓮は警備兵と技術者たちに振り返る。 「今から、メイン操作室の周辺にいる敵兵に攻撃をしかけます。殲滅します。警備兵の方は殺し損ねた敵兵を、遠方から狙ってください」 「わかった」 夏希と蓮、史晴を含めた警備兵5人は建物の近くまで移動した。 これ以上進めば、敵に気づかれるギリギリ。 夏希と蓮は止まった。 夏希と蓮向き合い、胸の前で、夏希の左手と蓮の右手を重ね、指を絡ませる。 夏希は蓮の胸にこてんとおでこをつけ、蓮は夏希のおでこにキスできるくらい顔を傾ける。 重ねた二つの手に、ほぅとオレンジ色の光が宿る。 目を閉じ、小さな声でつぶやく。 「俺の命を夏希に委ねることを誓います」 「俺の命を蓮に委ねることを誓います」 「命に代えて、夏希を守ると誓います」 「命に代えて、蓮を守ると誓います」 「どんな運命でも、蓮と共に」 「夏希と共に」 ゆっくりと、二人は目を開けた。 「夏希、行くぞ」 「うん」 夏希が左の耳に、髪をかけた。 お揃いのオレンジ色の光を放つ宝石プリアダーニーのピアスが光る。 同時に夏希の全身が黄色の光、蓮は赤い光が体を包み込む。 蓮が走り出し、やや後ろを夏希がついていく。 見張りの敵兵が見えた。 夏希たちとは違い、黒い肌で、背が高く、屈強な体つきをしていた。 タスゴナガル軍だ。 手には散弾銃を持つ。 「来たぞ!蛮国軍だ!」 蓮に向け散弾銃を撃った。 夏希は右手を蓮の背中に当てる。 夏希の体から発する黄色い光と、蓮にまとう赤い光が混ざり合い、オレンジ色の変わった。 蓮が右手で払うと、敵が放った銃弾は蓮の体に当たらず、オレンジの光に阻まれ、地面に落ちた。 「くそっ!」 銃弾が当たらないとわかると、敵兵はあっさり諦め、仲間の方へと走っていく。 角を曲がり、建物の影に隠れると、蓮も続いた。 そこには、バズーカの銃口を向けていた。 「止まって」 夏希の声に、蓮は足を止めた。 夏希の黄色の波動が蓮の赤い波動に送られ、混ざり合い、ちょうどいい大きさ、強さ、綺麗なオレンジ色の球になる。 「いいよ」 蓮がオレンジ色の光を押し出す。 すごい風圧とともに、オレンジの大きな光の球はバズーカへと飛んでいき、周りにいた敵兵もろとも吹き飛ばした。 「すご……」「速い……」 後ろから走っていた警備兵は、早さと威力と正確さに目を丸めた。 ライフル銃を構えるも、自分が打つ必要のある敵兵は立っていなかった。 しかし、角から、次々と敵兵が現れ、夏希たちに銃口を向ける。 「なんだ!?」 夏希が反対側の通路にふっと人差し指を小さく揺らす。 小さなオレンジの光が飾っていた観葉植物の植木鉢がバタンと倒した。 「あっちもいるぞ!」 敵兵は物音に反応し、ライフルを打ちまくった。 意識を反らした敵兵たちの前に蓮と夏希は同時に現れる。 3つのオレンジ色の光が立て続けに放たれると、敵に当たり、次々に倒れていった。 「夏希、いいぞ!すっげぇ打ちやすい!」 夏希は小さく笑った。 球をまとめたと思うと、すぐに狙いったところに当て、銃弾が飛んでこれば、光のシールドで防ぐ。 無駄のない、連携された動きだった。 残当を片付けようと銃を構える警備兵に、仕事を残さなかった。 「あんな手足みたいに波動を操るやつら、初めてだ……」 「放て!」 声と同時にダダダダと大きな音が響き、無数の弾が夏希たちに向かってきた。 夏希はその方角へ両手を広げ、腕を伸ばす。 大きく厚いオレンジ色のシールドが蓮と夏希の前に現れる。 それに当たった弾は力なく、床へと落ちていく。 「くそっ!」 悪態をつく敵兵が弾を入れる一瞬に、またオレンジの光が当たり、倒れた。 「残り敵数35……はぁ……はぁ……」 夏希の声に、蓮が顔色を見た。 少し、息が上がってきたようだった。 敵兵たちに、状況を判断する時間を与えぬよう、すぐさま、操作室前のエントランスに突入した。 扉の破壊を試みた爆発で、窓ガラスや装飾はボロボロになったいた。 床も黒く焦げている。 監視カメラで確認したとおり、エントランスには、籠城にこまねいていた多数の敵兵がいた。 肌が黒く体格のいい男たちの中に、顔まで覆う全身深緑の布を被る者がいる。 フリテッド軍だ。 「夏希はそこにいろ!」 蓮は夏希に、エントランス前のコーナーで待つように指示した。 夏希はそこから、様子を伺いつつ、蓮に波動を送る。 敵兵は統制を失ったように、騒いでいた。 「なんだ?なんなんだ?」 「波動弾うまいやつがきやがった!」 「見張りのやつら死んだのか?」 「このままだと、全員殺されるぞ!」 「くそっ、逃げろぉ!」 わらわらと、敵兵は走って逃げていく。 「俺は死にたくない!」 「俺だって!」 「うぁっ!!」 その背中に蓮はオレンジの光を当てる。 当たった敵兵はそのままバタリと倒れる。 それを逃げる兵の中には、振り返って気にかける者もいたが、近寄ることはやめ、そのまま走り去る。 その敵もまた、蓮は狙っていった。 蓮は続け様に波動弾を打ちながら、敵兵に近づいていった。 ライフル銃は効果がないと悟った、深緑の布をかぶった男は手のひらを蓮に向ける。 黒い塊が蓮の額をかすめていった。 「う、くぅ……」 ジーンと染みるような痛みが額を襲った。 気丈にも、蓮はそのまま二、三歩進み、敵兵に波動弾を打つ。 「あいつを狙ってもだめだ!あっちの茶髪のちっこいのを狙え!」 散弾銃の銃口が夏希に向いた。 夏希はほんの少し、表情を曇らせるも、変わらず、蓮に波動を送り続ける。 「させねーよ」 夏希に向かってたくさん飛んでいく銃弾に先回りした、波動弾。 蓮がぐいっと引っ張る動作をすると、そのまま起動を変え、散弾銃を握る敵兵たちにぶちあたった。 「うぁぁぁあああ!」 敵数が減り、夏希は蓮のそばにかけ寄った。 蓮の額を見る。 青紫色に黒ずんでいる。 これが、フリデッド キングダムの民族が持つ特性、毒の生成だった。 速効性はないと確認し、夏希は視線を敵兵に戻し、また波動を送る。 「はぁー……はぁー……」 呼吸が苦しい。体も思うように動かない。 敵兵が適当に投げた手榴弾が天井に当たり、落ちてくる。 「はぁー……」 夏希の反応が遅い。波動を必要以上使わないほうがよいと判断した蓮が、蓮は夏希を抱き、横に飛んで避ける。 天井がガラガラと崩れ落ち、床に穴が空いていく。 「あと、ちょっとだ。がんばれ、夏希」 「うん」 まともに立っている敵兵はほとんどいない。 「ザパトルダ様……!」 倒れる敵兵の中、深緑の服の者が、もう一人の深緑の者を気遣う様子が見えた。 早く逃げるように背中を押している。 「親玉はあいつか。相変わらず、わかりにくい」 蓮がその者に腕を伸ばす。 「指揮官、標的発見」 オレンジの光はザパトルダと呼ばれた指揮官に当たった。 「ザパトルダさ……!」 その隣にいた敵兵も倒れた。 「………………」 当たり一体が静かになった。 蓮と夏希は、動ける敵兵が残っていないか、神経を研ぎ澄ませた。
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