起爆剤

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「ボクの場合はねえ。もう(くに)に帰れないんだよお。信用が失われちゃったからねえ」  宇宙人は自分のことを暴露しはじめた。 「ボクはねえ。知名度ある宇宙飛行士だったんだあ。ある時、軌道を変え、星に急接近してきた小惑星を爆破させるって任務を請け負ったんだあ。星に落下する危険性があったからあ」 「映画アルマゲドンみたいだな」 「そうそうそう。そんなやつう」  はっきりと良くはわからないけど、宇宙人は遠い目をしているらしかった。だからなんで地球の映画、知ってるんだよ。 「まあねえ、ミッションはスゴく簡単だったんだけどねえ」  曰く、小惑星の表面に幾つか小型爆弾を設置。それを安全な所から起爆装置を使って一斉爆破させ、小惑星を消滅させる。 「ボク失敗しちゃってさあ。ほら、ちょっとベンチとかに座って財布とかスマホとか大事なものなのに忘れて来ちゃうヤツいるでしょお。あれあれあれ。ボク、そういうヤツだったからあ……」  えっ? 「多分、地上のトイレとかに忘れて来たんじゃないかなあ」  えっ、えっ? 「起爆装置」  まさか! 「さすがに星からでは遠すぎて起爆できないからねえ」  よっぽど計画がずさんで見通しが、甘いではないか。
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