再会と次の段階へ

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再会と次の段階へ

『真紅ブラ特注キャンペーン』が開始された。テレビでは人気モデルのYURIAが真紅の下着を身に着け、男性を誘惑するように迫るシーンが流れる。サンプルを身に着けていた時と同じように、綺麗で色っぽく真紅の下着がよく似合っていた。 キャンペーン初日の朝、オフィスではミーティングでキャンペーン開始の確認が行われていた。 「初日の店舗担当の原西(はらにし)は、常にYURIAさんのそばでサポートに徹する事」 「はいっ」 「今日の店舗の準備や警備に当たる5名は、混乱や暴動など起こらないよう気をつけるように」 「はいっ」 「あとの5店舗の担当者もキャンペーン中は、店舗の様子を見ておいてくれ。他の中小店舗は、他の者が手分けして見回るように」 「はいっ」 「それと念の為、次の予定になっている店舗の担当者は、前の店舗の様子を見に行く事。すみやかにキャンペーンを進める為に必要だ」 「はいっ」 「以上だ」 ミーティングが終わると、皆、オフィスを出て各店舗に向かった。 伊織が花村の店舗に着くと、すでに準備は終わっていた。前日に届いた広告の準備や店舗内の陳列が変わっていて、真紅の陳列コーナーが広げられていた。 「たぶんキャンペーン効果で、従来の真紅も売れると思うからコーナーを広げたの。発注もして在庫の準備は万全。時期的にもクリスマス前だしね」 店舗内を見ていた伊織に、花村が話しかける。 「花村さん、ありがとうございます」 「ううん。それより楽しみだな。モデルのYURIAさんに会えるんだぁ」 そう言って花村は嬉しそうに笑顔を見せた。 その時、鞄の中で携帯が鳴る。伊織が携帯を取り出し画面を見ると、友里亜からだった。 「ちょっとすみません」 伊織は花村に断りを入れて、店舗を出て少し離れた所で電話に出る。 「もしもし…」 《もしもし、忙しい時にごめんなさい》 「いえ。どうしたんですか?」 《遅くなったけど、お礼を言っておこうと思って》 「えっ…お礼?」 《そう。真紅のキャンペーン、本当に実現させてくれてありがとう。おかげで、自然な形で榊君と再会出来る。本当にありがとう。そのお礼にこのキャンペーンを成功させて、売り上げ貢献するから》 「ふふっ、じゃあ、期待してます。いい再会になるよう祈ってます」 《うん。ありがとう。じゃ、今日からよろしくね》 「はい。よろしくお願いします」 電話を切って鞄にしまい、伊織は店に戻った。伊織と花村は店の奥の部屋でコーヒーを飲みながら、店舗の様子を窺う。 初日は、どの店舗でもCMを見た客が店に訪れ、真紅の下着を中心に見たり購入していく事が多く、特注のFカップやGカップの注文も多く入った。YURIAが現れた店舗では、YURIAから広告が配られ握手が出来る事もあり、行列が出来る事態となった。 行列の中には男性もいて、YURIAに会いに来ただけの者もいれば、彼女に真紅をプレゼントすると言う客もいた。準備や警備に当たっていた営業の判断は早く、行列が出来始めてすぐに整理券を配り、行列を誘導し管理するように努め、混乱や暴動を起こす事なく初日を無事に終えた。 翌日も店舗には真紅の下着を見に来る客は多く、購入していく客があとを絶たない。クリスマス前にキャンペーンをした事が、さらに真紅の売り上げを伸ばしているようだった。
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