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家系の呪いが発覚
私のお父さんとお母さんの仲はすごく良い。
もうすごく良い。
「お父さん。もう行っちゃうの?私、すごく寂しいわ。」
「そう言われると俺も辛いよ。このまま一緒に過ごせれば幸せなのに。でも、俺はお母さんと晴子の為にも頑張って働かなくちゃいけないから…。」
こんなやりとりが毎朝繰り広げられるぐらいには…。
両親の仲が円満なのはいいことだと思う。
でも、時々クリームがたっぷり載ったケーキを無理やり口にねじ込まれた気持ちになる。
いつのまにはお父さんは出勤してしまったらしい。
お母さん一人だった。
「いつか私も四六時中ベタベタしたくなるような恋愛ができるかな。」
思わず、ふと呟いてしまった。
ちょっと好きになった人はいたけれど、その人が恋愛に興味がないらしいと噂を聞いてあっさり諦めてしまった。
多分、私はそこまで本気だったわけじゃないのだろう。
「あら、できるわよ。晴子ちゃんはお母さんの一人娘だもの。きっと忘れ物をした時に、カッコよく助けてくれる男の人を好きになるわ。」
お母さんは胸を張って答えた。
「なにその忘れ物って。お母さんとお父さんがそうだったの?」
「そうよ。おじいちゃんとおばあちゃんもそうだったの。私の妹の理代子叔母さんだってそうよ。うちの家系はみんなそうじゃないかしら。」
いや、もうそれは呪いでは?
はあ~。思わず、大きなため息が出た。
「なんだよ、ため息ついて。」
ちょっと心配そうな顔をして、幼馴染の大木英輔が声を掛けてきた。
高校で同じクラスになったのに、あまり近寄ってこない彼にしては珍しい。
「いや、なんかウチの家系って呪われているらしくて。」
「は?」
英輔はわけがわからないという顔をしている。
それはそうだろうな。
「いや、なんか私は忘れ物をして困った時に、助けてくれる男の人を好きになるらしくて…。」
「なんだそれ。お前、そんな軽い奴なの?」
英輔は急に不機嫌そうな顔をした。
「お、なになに?修羅場?お前ら付き合ってたの?」
英輔の友達が急に絡んできた。
こいつはチャラいけれど、悪い奴じゃない。
「私たちはただの幼馴染だよ。小さい頃から一緒だったんだから兄妹みたいなもん。もうそんな風に言われるの飽きたんだけど。」
変に照れるのも逆効果なので、私がそう適当に返すと英輔は俯いたかと思うと、「じゃあ、俺はもう戻るわ。」と言って離れてしまった。
すると英輔の友達に、「前から思ってたんだけれど、結構鈍感。」とちょっと呆れたように言われた。まさかと思うけれど、英輔が私のことが好きだとでも言うのだろうか。
まさかね…。
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