ラブホ地縛霊の俺がクリスマスを過ごす!

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 一年前のクリスマスの夜に俺はラブホで死んだ。  死因は腹上死じゃないのは、せめてもの救いかもしれない。転けて頭を強く打ったから、俺は死んでしまった。  ただ、この死因だったら、別にラブホじゃなくても良かったと思う。  いや、本当は死ぬこと自体が嫌なんですけど、ラブホ以外で死んでさっさと成仏したかった。  当たり前だけど、皆ここに来てセックスをする。同学年の人間も先輩も近所のおばさんやおじさんも。  皆が皆、口を揃えて「琢也(たくや)くんってこの辺りのホテルで亡くなったんだよね。可哀想」って軽く同情する。そして、そのあとにやることをやる。  まさにこのホテルのこの部屋で俺がここにいることを知らずに。  勿論、幽霊になった俺が見える人間はいない。  でも、俺には見えるし聞こえる。何もかも、同学年の人間も先輩も近所のおばさんもおじさんの全てが見える。多分、生きていれば生涯見ることのなかった部分まで見ている。それはまあ肉体的なものもあるし、精神的なものもある。  早く成仏して、生まれ変わったら耳も目もない草木になりたい。  俺は今日で死んで一周年ーー正しくは一回忌になる。  俺は祈る気持ちで客が来るのを待っている。念仏のように「女子会、女子会……」と唱え続けて、穏やかな気持ちでクリスマスを終えるのを祈っている。
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