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女子会はいいぞ。幽霊にとって凄い穏やかな気持ちで過ごせる。女子会は女子たちがベッドでゴロゴロしながら駄弁っているだけで、幽霊と人間たち各々で好きなように過ごせるから。
ついでに、俺のお気に入りは窓際だ。生前から風景を眺めるのが好きだった。
カップルはひたすら逃げ道がない。風呂だろうとベッドだろうと窓際だろうと、こっちの領域を平気で侵して見たくないものを見せてくる。
天に向かって祈りを捧げている中、ついに部屋の扉か開く。
「みーくん、こういうとこってこういう感じなんだね」
俺の女子会に対する執着も空しくカップルだった。
いや、でも、なんか男も女も地味目の格好の初々しい感じで生前の俺を思い出す。
「ゆい、くつろいでてよ。俺、てきとーにルームサービス頼んどくから」
男はそう言いながらコートを脱いだ。その拍子に手帳のようなものが落ちる。
落ちて開いたページには一面黒く塗りたくったんじゃないかってくらい文字がびっしりと書かれている。素早く男が拾ったのでよく見えなかったが、俺の見えた範囲では『無理矢理』や『開発』の文字があり、表紙には『セックスのために』と書いてあった。
えっ、手帳怖っ……。
「あっ、もしもし。佐江島です」
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