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やっぱりクリスマスだから予め用意してあるのだろうか。
そういえば、そもそもルームサービスがあること自体知らなかったぞ。
制服を着た金髪の男が部屋へ入って、ローストチキンを置く。
「あっ、もしかして、お取り込み中でしたか」
そう、にひひっと笑いながら帰っていった。こいつ、デリカシーの欠片もないな……。
当然ながら、雰囲気はヒヤヒヤだ。当分、窓際タイムは起きそうにない。
俺は窓際から離れて、ローストチキンを眺める。艶々して美味しそうだ。
「た、食べようか!」
女が明るい声色で男に声を掛ける。男は「そうだな」と頷き、ローストチキンもぐもぐタイムが始まった。
ローストチキン、いいな。幽霊に食欲はないが、生前の食べて美味しかったという思い出は残っている。他人のセックスを見るのと同じくらい、食べる姿を見るのは結構辛い。
もぐもぐタイムが終わり、男はシャワーを浴びた。
「こんなはずじゃなかったのに……」
今、女がシャワーを浴びていて、男は頭を抱えながらあの手帳を読んでいる。
「いや、でも、結果オーライだよな。ちゃんとシャワー浴びれたし!」
この男、思いの外独り言が多い。
今、開いてあるページを覗くと、さっき見たページより余白が多かった。手順と書かれてある。
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