2人が本棚に入れています
本棚に追加
番外編前編:『破茶滅茶ドキドキ…!?冬のパーティー。』
鈴『パーティー…?』
時刻は昼の二時。僕は自宅で書類仕事をしていて、電話がかかってきて出たところ、愛奈に話しかけられたのでその話を聞いたところ、なんと今日の夜の七時からフランの家でクリスマスパーティーをするらしい。
愛奈『そうそう。クリスマスパーティー。』
鈴『ま…冬の夜は暇だしな。僕も行くよ。』
次への戦争で皆も緊張して強張っているだろう。ここらでパーティーでもして
息抜きをしようと思い、僕はその言葉に頷くのだった……
ピンポーンと、聞き覚えのあるチャイムの音が鳴る。現在の時刻は午後六時半。
辺りはもう冬の季節ということもあって真っ暗だ。にしてもかなり広い家だ。
紅魔館は先日ボロボロになってしまって修理中だから、豪邸をどこかから
買ったらしい。流石スカーレット家の御令嬢だなと思いつつ、誰か出てこない
かとこう言った。
鈴『おーい、いるかー?』
そうするとインターホン越しから『少し待ってて』と声が聞こえ、
そこから十秒後、玄関のドアが開きフランが出てきた。だが、その格好は…
フラン『待ってたよ鈴ー!皆もう集まってるから上がって上がってー!』
鈴『いや…その前にさ……お前の服どうした?』
フラン『えっへへー…良いでしょ?こういうのも。』
そう。今僕の目の前にいる彼女の服装は、テレビや雑誌などでよく見る
サンタの服装をしている。なんともまぁ派手なことだ。くるくる回りながら
こちらをドヤ顔で見ている。感想が欲しいのだろうか、三秒間僕が黙っていると、フランが不機嫌そうな表情を浮かべこちらを軽く睨んだ。
鈴『……中入っていいか?』
フラン『…どうぞ。』
やはり不機嫌な様だ。中に案内され入っていく時もずっとこちらを睨んでいる。乙女心というのは難しいものだ。まぁ今回は完全に僕が悪いのだが。
そんなこんなでリビングに行くと、そこはもう大所帯。皆せっせと準備をしており、氷がこちらに気づき振り返り、声をかけてきた。
氷『今来たの鈴?今皆準備してるから鈴も手伝ってー。』
氷はサンタ服じゃないんだなと安堵したところで、氷はこちらに話しかけてきた。まぁ恐らくフランはこういう行事が好きだから舞い上がっているんだろうが……それに伴ってほぼ全員がウキウキしている。周りを見れば、魔理沙は
勿論、霊夢でさえ少しソワソワしていた。
魔理沙『早くパーティーやんないかなー…暇でしょうがないぜ。』
霊夢『文句言わないの魔理沙。準備は皆がしてくれてるんだから。』
魔理沙『そういう霊夢だってソワソワしてるじゃないか。こたつ越しでもわかるぜ!』
霊夢『ちょっと、あまり大声で言わないでよ!』
鈴『……随分とテンションが上がってるな…まぁ無理もないか。』
あちら側の光景を見ながら、思わず僕は苦笑いをしてしまった。やはり皆どうも興奮気味の様だ。唯一落ち着いているのは……本当に僕ぐらいしかいない。
奈月はもうシャンパンを用意したし……いやちょっと待て。僕達は一応学生
だぞって…そういや僕も思いっきり蒸留酒を飲んでいた。こりゃ失敬。
鈴『もう設置の準備は出来てそうだし…じゃあ僕は料理の手伝いでもしてくるかな…』
わーぎゃー騒いでいる奴等を無視して、僕は食堂へと向かう。
そこには大体三十人くらいだろうか。色んな人が料理をしていて、その中には
霊夢の妹、霊歌がいた。
鈴『よっ。お疲れ様。』
そう声をかけると、こちらに振り向きぱぁっと笑顔になった。可愛いなこの子。霊夢の面影が感じられないんだが。ここまで純粋な子もやがて霊夢みたいな我儘なヤツになってしまうのか……おっと。何か得体の知れない殺気を感じるのでこれ以上このことを考えるのは止めよう。
魔理沙『おいおい霊夢どうしたんだ?急に苛ついたりしてさ。』
霊夢『いや…なんかこう…誰かがすごい失礼なことを考えてるような気がして…』
霊歌『あっ鈴さん。いつ来たんですか?』
鈴『今さ。それより、何か手伝うことはないか?僕も何か手伝いたい。』
そう尋ねると少女はほんの三秒辺り悩む動作をして、こう答えた。
霊歌『そうですね…だとしたら、ケーキ作りを手伝ってもらっていいですか?私は他にもやらなくちゃいけないことがあるので……』
鈴『ケーキか…わかった。それじゃあ行ってくる。』
こう見えても僕はかなりの甘党なのだ。ケーキ作りとなったらそりゃあ本気を出すしかないな。そうして僕がステップしながら食堂へ向かう。そこには一通り材料や器具などは揃えてあった。恐らく霊歌がやってくれたのだろう。
流石有能だ。そんなことを思いながら袖をたくし上げ、調理の準備をしよう。
…と思ったが……ふむ。おかしいな。部屋の隅っこに見たことある橙色の髪を
している奴がいる気がするのだが。
鈴『…よう。もしかするとシバかれに来たのかな?』
と、その声に反応して、ゆっくりこちらを向き、苦笑いを作った。
麟瞳『いやまぁ……なんというか……薬の実験に来たのだよ、少年。』
ほほう。随分といい度胸をしている様だ。何故僕がこんなに苛ついているのかと言うと、実は先日武器の調達の為先日貴重な材料を取りに行かされたのだ。
そりゃもう色んなところを飛び回った。で、全部集め終わった後にアイツに電話をかけたのだが……
鈴『…ってなワケで、もう全部素材は集め終わって今から帰るけど、まだ何か注文あるか?こっちは一ヶ月ずっと休みなしで動いてたんだ。早く帰って寝たいんだ。』
麟瞳『あー……その件なんだけどね鈴君……』
と、電話越しでも若干声焦っているのがわかったが、何故焦っているのだろうか…
鈴『まさか……』
今、最悪な結末が一つ浮かんだのだが、恐らくそれはないだろうと頭を横に振るう。まさかな。そーんなありきたりな結末あり得ないだろう。だがその女性は、無情にもこう言ってきた。
麟瞳『えっとなんていうかそのー……この一ヶ月で君に依頼した素材さ…
全部勘違いのミスだったみたい☆』
鈴『お前を殺す。』
麟瞳『そこまで怒る!?』
そりゃあ当然だろう。一ヶ月ずっと休みで動いてたんだぞ不眠症になるわ。
しかもたまに野宿もあったからストレスがもう凄い。折角の休みも全部消費して動いてたんだぞ。そりゃ殺意も湧く。
麟瞳『えっとそれじゃあ……ばいばい少年!』
鈴『ちょっ待っお前っ』
全部言い切る前に無理やり電話を切りやがった。この時僕は、次アイツに会ったら絶対羽交い締めかスープレックスをキメてやると心のなかで誓ったのだった……
鈴『……さて。何か遺言はあるか?』
そうして今現在、僕は綺麗に羽交い締めで首を絞めている最中だ。
麟瞳『ちょっギブギブギブギブ!待ちたえよ少年!今此処にいるのにはワケがあるんだ!』
鈴『ほう…?実験の件についてだな、言ってみろ。』
そこで僕は羽交い締めを解き拘束から解放させた。正直あの件と今日此処にいるには全く関係ない気もするが……まぁ謝りに来たとかまともな返答だったら
多少許すことは考えてやろう。そうして僕が待っていると、彼女は次にこう
言い始めた。
麟瞳『実はね……私が今日此処にいるのはとある薬を作る為なんだ。』
鈴『薬……?』
麟瞳『そう。薬。で、その中身が………』
麟瞳『惚れ薬とヤンデレ化薬☆一回造ってみたかったんdっ』
次の瞬間、僕は一瞬にして彼女の背後に周り腹を両手で拘束し、軽くジャンプをした。
麟瞳『あーちょっと待ってこの先の展開が読めた少し待ち給え少nっ…』
鈴『口は塞いでおけよ。』
そうして僕達は宙で二回転し、そして僕は思いっきり麟瞳の頭を地面にぶつけてやった。
麟瞳『…………』
完全ノックアウト。どこからかゴングの音が聞こえてくるようだ。
麟瞳は泡を吹きながら倒れている。恐らく気絶だろう。頭にはかなり大きいたんこぶができているが……まぁ自業自得だな。
霊歌『なんか悲鳴が聞こえたんですが大丈夫ですか!?』
そう慌てた様子でカーテンをバッと開く霊歌へ振り返って、僕はこう言った。
鈴『大丈夫大丈夫。ただ馬鹿をノシてただけだから安心しろ。』
霊歌『あぁ…なら大丈夫ですね……』
これで納得するのは博霊の血のせいなのか、それとも姉が霊夢ということのせいなのか。まぁそれはいいとして。とりあえず僕は麟瞳を部屋の端っこへ引きずり、ケーキ作りを再開したのだったー……
鈴『…さて。それじゃあ全員準備は出来たな?』
フラン『皆準備はできてるよ。』
それにしても、大分広い宴会場になったな。よくこんな豪邸用意したものだ。
まぁそれはさておきー……
鈴『それじゃあ……乾杯!』
そうして僕達は食事を始める。かくいう僕はウォッカを飲み始めていた。
やはり時代はウォッカなのだよ少年少女。え?何度数が高い?知るか。
少しヤケクソになってないかって?知るか。もう酔っ払ってるんじゃないかって?知るか。………はて。僕は一体誰に話しかけているのだろうか。
まぁそんなことはどうでもいいのだ。折角の大宴会、楽しまなくちゃ損というものだろう。
ー二十分後ー
奈月『ほらほら少年日本酒も飲みなよ〜〜ん〜?ウォッカばかり飲んでないでさぁ。』
そうして僕は今ダル絡みされている。全く、年上の威厳も何もない。
だらしなく僕に寄りかかっていてなんとも淫らである。コイツ結構
酒に弱いんだよな。まぁ元から気分屋なので然程変わりもしないのだが。
だが、一つ聞き捨てならない言葉を聞いたな。
鈴『…貴様、ウォッカは僕にとって人生であることを承知しているだろう?
かといって日本酒を勧めるということは……覚悟は出来ていると見受けていいか?』
奈月『当たり前だよ。今日こそ決着をつけようじゃないか。』
そう応えを聞いて僕達は一斉に距離をとり、構える。さて。毎年恒例の祭囃しだ。
鈴『来い。紅凰羽天月。』
そう呟いた瞬間、刀が僕の手元に引っ張られるように飛来してきた。
奈月『~~…』
そして彼女も何か呟いて、何処からか矛を手に持った。その矛の刀身は青く光り、それに対するかの様に僕の刀の刀身は紅く染まった。
鈴『それじゃあ……行くぞ!』
そうして僕達は衝突しあい、激しい火花を散らせた。
魔理沙『はぁ……やれやれだぜ。なんでこうも戦闘狂なのかね。』
霊夢『いやアンタも弾幕はパワーだぜとか言ってるでしょ。』
鈴『…あー……どっと疲れたな……』
そうして僕達はぐたぁと倒れている。結局あの後、酔っ払ったフランが介入してきたりでどんちゃん騒ぎを妖夢先生が止めてくれた。いやはや申し訳ない。
飲み潰れている者達も見受けられた。さて。それじゃあ僕は休憩をするとしようか。そうして僕は、クッションに寄りかかりながらたまにはこういう行事
も良いものだな、と思うのだったー……。
最初のコメントを投稿しよう!