おとなりの莉子ちゃん

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 はあぁっ……  吐き出した真っ白な息が、すぅっと無色に消えていった。  少しでもあったかくなるようにってママが買ってくれた手ぶくろはめても。もこもこのマフラー巻いても。顔だけは冷たい空気にあたりつづける。  冷たすぎてピリピリするから、頑張って顔を動かしてるんだけど、ピリピリは全然おさまらない。  もうっ、早く学校行こうよっ!  足元からも冷たさがやってくるから、わたしは少しでも逃げるように足ぶみしている。  足ぶみのたびに、ランドセルにつけているキーホルダーが小さな音を立てる。  さむい、つめたい。冬なんて大きらい! 「あーやちゃん」  声がかけられるなり、むぎゅっとほっぺたをはさまれた。 「り、りひょひゃん?」  莉子(りこ)ちゃんは私のほっぺを手のひらでくるくるする。  手ぶくろをしていないのに、莉子ちゃんの手はあったかい。  あんなにピリピリしていたほっぺたが、溶けるようにぽかぽかしてくる。 「あやちゃんのほっぺ、ぷにぷにで気持ちいいっ」  笑顔がまぶしい莉子ちゃんは、隣のおうちに住んでいる仲良しのお姉ちゃん。  わたしが入学した時、6年生になった莉子ちゃんは、登校班の班長になった。
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