泣いてやんない

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泣いてやんない

 からだ重い。  せっかく良い天気なのに、どうにも気持ちが上がらない。  ベットに寝転んだまま、もうどれくらいこうしてるっけ。  髪もクシャクシャ、顔もなんかべたつくし、口も気持ち悪いや。  あーあ、なんでこんな事になっちゃったんだろ。  最初は良かったんだけどな、記念日なんかもいちいち祝ったりなんかして。  プレゼントなにあげようとか、これだったら喜ぶかなとか悩んだりしてさ。  でもそれも楽しかったな。  いちいちLINEなんかも気にしてさ、すぐに返そうかそれともちょっと待たせてみようかとか考えて。  色んな所にも行ったな。記念に買ったセンス悪いキーホルダー、ずっと大事に持ってた。  色んなものも食べたな、いっつもこっちの料理を一口欲しがってたっけ。  いつだって自分の中には君がいて、いろんな選択肢を狭めていった。  でもそれでも良かった、ほんとに好きだったから。  けど、それももう終わり。  きっかけなんて、覚えてないくらい些細な事だった。  そこからはあっと言う間だったな。  喧嘩して、怒鳴って、そのまんま。  びっくりするくらいあっけなかった。  二人で積み上げた時間も思い出も、積み上げるよりずっと早く壊れた。  ぜーんぶ壊れてなくなって、けっきょく一人に逆戻り。  ずっと一人だったら、胸にこんな穴が開く事も無かったのに。  君を知ったから、私は前よりもずっと弱くなった。  二人で過ごしたあの部屋に、全部置いてきちゃった。  思い出も、何かをしようって気持ちも、心とか全部忘れてきた。  あ、やばい。なんか泣きそう。  別れてすぐは平気だったのに。  一人でベットに寝転んでると、無性に泣きたくなってきた。  君のいない時間は、今までよりもずっと長い。  でも、泣いてやんない。  君のためになんか、絶対泣いてやんない。  今まで何度も泣いたから、もう十分でしょ?」  別に恨んだりとかもしてない、精々お互い幸せになろ。  部屋に忘れてきた私の全部を、君にあげる。  いらないと思うけどね。  あ、でも愛だけは返してね。  君じゃない誰かに使わなきゃいけないから。  ……なんてね、少しセンチメンタルだったかな?  とりあえず、シャワーでも浴びようかな。
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