卒業の日に

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 坂口君に名前を呼ばれ、何も反応ができなかった。しかし、ずっと黙っていたら怒らせてしまいそうだ。 「何?」  自然と小さな声になる。坂口君と目が合わせられない。 「その本…」  私が持っていた本を見ながら坂口君は言った。 「貸してくれない」  意外な言葉に私は返事ができなかった。坂口君と本のイメージが結びつかない。 「だめ?」  その言葉に我に返る。貸さなかったら怒りそうだ。  私は黙って本を坂口君に差し出した。  坂口君はそれを受け取ると教室から出て行った。
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