バニーガールストライド(兎耳娘の走査線)

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バニーガールストライド(兎耳娘の走査線)

1999年にノストラダムスの大予言が起こり、第3次世界大戦が起こります。  ↓    ↓   ↓   ↓  ↓  ↓  この第3次世界大戦。太陽系全域にまで広がるほど、年数が滅茶苦茶かかります。それでもって人類の技術力も大躍進。宇宙への入植も大躍進。死体の山をいっぱいいっぱい積み上げてからようやく戦災の愚かさを知る。  ↓    ↓  ↓   ↓   ↓  第3次世界大戦を契機に銀河系の果てまで入植するまで人類規模の世界大戦はしないと各国は誓う。それを以て警察機構型人類諸国連合(コーストガード)という国際機構が結成される。人類の第3次世界大戦で急成長した技術、恐怖の航宙技術(アンゴルモア)により、人類の宇宙開拓に向けた入植が開始される。  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  数百年間が経過し、人類の生活圏は銀河系の果てまで及んだ。しかし恐怖の航宙技術(アンゴルモア)を以ても銀河系のい果てから地球までワープ航法を以て往来したとしても片道2年間往復4年間はかかるといわれる。  ↓ ↓  ↓  ↓  ↓ 警察機構型人類諸国連合(コーストガード)の最高権力者、警視総監は、全ての通信、ワープ航法、交通の便、物資の流通、交易などを1個の惑星で集約させて一般庶民でも気軽に快適にできる全人類最適化構想(スマートシティ)を提唱し実現させる。  ↓ ↓  ↓ ↓    ↓  銀河系矮小化惑星(コアギャラクシー)が誕生する。特徴は日本列島が地球規模まで巨大化したような陸地があることだ。これにより海外旅行感覚で地球から銀河系の最果てまで行けるようになった。銀河系矮小化惑星(コアギャラクシー)が経済、政治、娯楽の中心になる。警察機構型人類諸国連合(コーストガード)の首都は地球であるものの、副首都と認可される。   ↓ ↓  ↓ ↓    ↓ 100年後、銀河系矮小化惑星(コアギャラクシー)の南西部にある超四国州にて、この惑星原生の昆虫トノサマバッタが突然変異し、蝗害(パンデミック)を引き起こす。   ↓ ↓  ↓ ↓    ↓  銀河系全域で蝗害(パンデミック)が大量発生する。そのトノサマバッタの亜種の体内に保菌している未知のウィルスにより数十億人以上の人類が死亡する。バニーガールの格好をした女子中学生ゴモラ・ココナッツが率いる探偵団、快速名探偵団(クラックディテクティブストライダーズ)がこれは自然発生ではなく、人為的なものであると見抜き、犯人を捜し出して滅ぼす。この蝗害(パンデミック)関連事件を兎耳娘の走査線(バニーガールストライド)と俗称で呼ばれる。  ↓ ↓ ↓ ↓  半年後。  銀河系の西部、西進管区(せいしんかんく)。そこの松露(しょうろ)恒星系にある惑星国家「洛陽(らくよう)」。  かつて地球、銀河系矮小化惑星(コアギャラクシー)に匹敵するくらいまで高度経済成長を遂げた通商国家だった。  しかし経済は大いに下落し中間層が崩壊し富裕層と貧困層の格差もかなり広がり、少子高齢化が急速に進む。落ちぶれ真っ最中の国であった。  洛陽のどこかにある森林地帯にある住宅団地。  そこの1件の邸宅の中、居間でテレビを見ている90歳の超高齢の翁がいた。  テレビ画面には翁がこの辺りでマイホームを購入して妻子を手に入れたときに撮影したホームビデオの映像である。 「…………」  沈黙しながら録画した映像を視聴する。マイホームの庭で家族揃ってバーベキューパーティをしている。すると、どこからかマイクを持ったレポーターがやってきた。どうやらテレビ局の企画でここら辺りにやってきたらしい。インタビューをしてきた。 「この森の中にあるニュータウン計画。ここに移住してきた方ですか?」 「はい。洛陽の経済団体連合会政府が推奨するこのプロジェクトは金になる樹と考えて家族で引っ越しを決意しました」  かつて洛陽は銀河系規模の統治機構の副首都惑星の地位を銀河系矮小化惑星(コアギャラクシー)から簒奪しようとした。銀河系矮小化惑星(コアギャラクシー)の名だたる企業を買収していった。しかしこれに銀河系を専制的影響力を持つ株式会社イオンスラスターコーポレーションが逆襲の大規模買収を行い、洛陽の野望を阻止した。よって洛陽のバブル経済は崩壊した。  そこから落ちぶれていく洛陽。  過去のホームビデオを視聴している90歳の翁に背後から話しかける老人がいた。その老人は肥満体で眼鏡をかけて翁より若い。顔立ちが90歳の翁に似ている。 597156b9-836e-4e36-a323-0b3e9c73dabe 「親父……また……そんなのを……見ているのかよ?……。過去の栄光にすがるのは……見苦しくないか……」 「うるさい!!! お前を洛陽の名門私立大学に入学させたのに……中退して……引き籠って……気がつけば……60歳……!!!」  眼鏡の老人は大学を中退してから何十年も実家で引き籠り、気がつけば、定年退職という高齢に差し掛かっていた。  それに高齢の息子は腹を立てて腕を振るう。いつも家庭内暴力を息子から受けていたため、父親の翁は悲鳴をあげて謝る。高齢の息子は殴るのを止めてテレビのリモコンを父親から奪い、ホームビデオを停止する。そしてテレビのチャンネルを変える。  それはお昼のニュース番組だった。政治ネタをやっている。この惑星国家「洛陽」の経団連政府官邸で来賓である松露恒星公安委員会の委員長と会談をしている。 「この恒星系の治安維持全般を管理している警察機構型人類諸国連合(コーストガード)の出先機関。そのトップを招待したということは……300国議会への参政権の認可を陳情しているんだよね。我が国が……」 「300国議会? 参政権? どういうことじゃ?」  我が家最高齢の父親はかつて銀河系の政治構造については博識レベルであったが、その博識は形成されていないようだ。息子が10代の頃に耳にタコができるほど教えられたのに息子は教える。 「300国議会。この銀河系で上位300位以内の経済力を誇る警察機構型人類諸国連合(コーストガード)加盟国(ぞっこく)警察機構型人類諸国連合(コーストガード)政治への参政権を与えるんだ。つまり300国議会は警察機構型人類諸国連合(コーストガード)の国会」 「洛陽にはないんか? かつてあったはずじゃぞ!!!」  かつては洛陽にも警察機構型人類諸国連合(コーストガード)への参政権はあった。但し、バブル崩壊して最貧国へと没落したので参政権は剥奪された。 「それは製薬産業で発展している惑星国家「上洛(じょうらく)」が認可されているからね。我が国は上洛の参政権保護下にある国だ。上洛の舎弟みたいな立ち位置だな。だから警察機構型人類諸国連合(コーストガード)の行政府――警視幕僚監部と繋がっている恒星公安委員長に陳情しているんだよ。でもさ経済力が最貧国だから無理だよね」  溜息をつく。 e90decdf-9bec-442f-b2d8-8df38252318e〓〓素材提供元:spaceman様  この国の国家元首――経団連会長がやっていることはズルだ。銀河系全土を治める統治機構――警察機構型人類諸国連合(コーストガード)の定める国際法――「」を遵守せず、銀河系経済力上位300位にランクインしていない。経団連会長の陳情に対し恒星公安委員長は首を横に振り、回答する。 「参政権のある上洛の選挙区から当選した銀河系議員。参政権保護国である貴国はその方に要望を伝えてください。それか経済力で上位300位以内にランクインするかの2択です。私の責務はあくまでこの松露恒星系内における治安維持の管理です。もしも貴国で反社による内紛が起きましたら直ちに洛陽圏警本部(けんけい)に命じて機動隊(AMP)を派遣しますので」  今回、恒星公安委員長がこの国に来たのは反社会勢力による脅迫や内紛の兆しがないかの確認だった。洛陽が最貧国であるのは自国の内政問題である。  高齢の息子はチャンネルを変えて昼間から放送している少女向けアニメの再放送を視聴する。それに90歳の父親は溜息をついた。 「息子よ……。そういえば……昨日……ハローワークへの面談に行ったんじゃろ? 結果はどやった?」  最近、息子が60歳であるが年金暮らしの実家に金を入れたいとかと言い、60歳になってようやくハローワークに通うようになってくれた。その成果が気になった。アニメの再放送を視聴しながら息子は回答する。 「ゲームセンター系のゲーム会社がさ近くにあったからそこの中途採用のデザイナーを希望したんだよ。そしたら面談の職員さんが年齢と未経験を理由にゲーム会社へ取り次げないと断ってきた。だからさ……諦めた……。俺さ……デザイナー向きだしさ……適職診断でもそうだったし……クリエイティブな才能があるんだってさ……。面談の職員さん、マジで先入観ばかりで人を蔑視しすぎ。年齢なんてクリエイティブに関係ないじゃん。高齢者が連載を獲得しt漫画家もいるしさ」  60歳にまで引き籠って出た考えはそんな激甘だったとは実父としてかなりショックを受けた。 「どうしたの?」 「……公園の清掃業とかどうだ?……産廃とかのう……。バイトでもいい。月給15万円以上はあると聞いたぞ?」 「俺さ……そういうの無理……。身体いわすのは嫌……」  60歳まで無職を貫いた息子に土方や清掃作業などが不可能なのは理解できていた。だから職業訓練などもススメてみたが息子は現実を建設的に直視しない。 「陸上機動隊(AMP)とかいいかもしれないって思ったことはあったけど、あそこの年齢制限は50歳まで……。俺さ……無理だよね……。お国のために反社と戦うってカッコいいじゃん♪」  銀河系の国々は国軍の保有を警察機構型人類諸国連合(コーストガード)により禁止されている。その代わり機動隊(AMP)という準軍事組織が各国に配置されてその国の国防を担っている。50歳までならば、「4等治安士」という最下位の階級の警察官に就職できる。だが、定年退職クラスの年齢である息子にはキツい。  息子には最低でも高齢者ならばこういうアルバイトができるとかも視野が狭い。最高齢の父親は溜息をつくばかりだった。嫁にも先立たれて息子と2人暮らしである。  アニメの再放送が終わると、息子はチャンネルを変える。今度は過去に録画したニュース番組を再生する。  それは去年、兎耳娘の走査線(バニーガールストライド)で名を馳せたゴモラ・ココナッツに取材した番組の録画である。 784637e4-ccb4-4fb1-803f-c3a64d904c6a バニーガールの格好をした女子中学生ゴモラ・ココナッツは、反社の連中と多勢無勢で戦闘している。息子はゴモラのファンだった。 「ゴモラちゃん♥ 中学生で何でそこまでグラマラスなの? いいよ♥ ゴモラちゃーーん♥ はぁはぁ♥」  息子はゴモラと反社の連中の戦闘を見ながら興奮している。ティッシュを取り出して息子はそれで何かに専念する。それを90歳の父親は見るのも無粋なのでこの部屋から立ち去ろうとする。息子はこんな年齢にもなってゴモラに恋していた。ゴモラは現在、1年の女子高生であり、入籍登録している中年男性がいる。既に未来の夫が決まっているというのに息子はゴモラに五里霧中なくらい夢中になっていた。  息子が自分の生命力を対外へと放出しようとした時だった。息子も親父も周囲がいきなり白く発光した。その発光は視界を覆った。  その数秒間であるが発光が収まると、宇宙空間しかなかった。惑星国家「洛陽」が。  のちにこの現象は惑星洛陽消失事件(ロストコロニー)と呼ばれるようになった。訪問した恒星公安委員長も行方不明となった。これに松露恒星公安委員会は惑星洛陽消失事件(ロストコロニー)捜査本部を惑星国家「上洛」に設置して星と現地住民の行方の捜査を開始した。
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