私はこうしてやめました。

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年末。 地方都市の飲み屋街にある、とある居酒屋。 5人座れるカウンター席とテーブル席が3つの小さな店。 大将がカウンターで料理を作り、バイトの女の子が1人料理を運ぶ、小さな店。 暖房の効いた店内に、演歌が吹き荒ぶ、小さな店。 テーブル席では、1人の男(タケシ)が時折独り笑みを見せながら酒を飲んでいる。 年齢は40くらいか。 大将「できたぞ」 大将が作った料理をバイトの女の子が運ぶ。 タケシのテーブルに置く。 バイト「おまちどおさま」 タケシ「これはなんだ?」 バイト「地鶏のタタキです。大将の故郷・宮崎の名物」 タケシ「この店で一番高いやつか?」 バイト「ですね」 タケシ「俺はパチンコで久しぶりに勝ったから、金はあるぞ」 バイト「ですか」 タケシ「焼酎がないぞ」 と、タケシは徳利を振る。 バイト「五合でいいですか?」 タケシ「ああ。焼酎をたくさん飲めるのも……」 バイト「パチンコに勝ったからでしょ」 タケシ「わかってるじゃねぇか」 バイト「お湯も持ってきましょうか」 タケシ「持ってこ〜い!」 入り口の戸が開く。 と入ってきたのは60歳手前くらいの、老紳士。 老紳士「あー、寒い寒い」 大将「いらっしゃい」 と出迎えた大将も、この客の顔は初めて見るようだ。 バイト「カウンターでいいですか?」 とバイトが促すまま、初老の男は腰を下ろす。 タケシ「おい、俺の焼酎は!」 バイト「はいはい、ただいま」 タケシの催促にも、バイトは慌てない。 バイト「はい、お通しです」 と、老紳士にお通しを出すバイトを見て、 タケシ「俺が先だろうが!」 バイト「はいはい、今、出しますよ」 タケシが声を荒げても、バイトは慌てない。 携帯の着信音が鳴り出す。 バイト「(タケシに)携帯、鳴ってますよ」 タケシ「知らん!」 と見向きもしない。 老紳士はバレないようにタケシを指しながら、 老紳士「荒れてるね」 大将「ええ、さっきから高いものばっかり注文していただいてるのですが……」 老紳士「あら、私も高いものを注文した方がいいのかな?」 大将「いえいえ、そういう意味ではなくて……」 老紳士「年末に、ずいぶん羽振りがいいものだ。宝くじでも当たったのかな?」 大将「パチンコに勝たれたみたいですよ」 老紳士「ああ、そう」 大将「お飲み物は?」 老紳士「私も焼酎。お湯割りで」 大将「なんか、作りましょうか?」 老紳士「串を適当にいいかな?」 大将「わかりました」 老紳士「彼のように景気のいい者もいれば、悪い者もいる。うちの家の前の公園でも首吊りがあってね」 大将「いつですか?」 老紳士「今朝」 大将「あら」 老紳士「パチンコで負けて、借金で首が回らなくなって、首を吊ったんだろう」 大将「わかるんですか?」 老紳士「よくあるのよ、その公園で。パチンコ屋も近いし」 大将「パチンコもほどほどにしないといかんですね」 老紳士「大将はパチンコは?」 大将「学生時代はそれなりに。この店を開こうと決めてから、スッパリやめました」 老紳士「私もよくやってたがね、妻に子供が出来てから、すっぱりやめたよ」 大将「人間、やめようと思えば、なんでもやめられるんですね」 老紳士「そうだよね」 タケシ「焼酎はまだか!」 と、タケシはまだテーブル席で荒ぶったまま。 大将「どうした?」 バイト「すみません、お湯をこぼしてしまって」 大将「それは俺がやっとくから、早く持っていって」 バイト、ようやく焼酎をタケシに持っていく。 バイト「おまちどおさまでした」 タケシ「いつまで待たせんだよ」 バイト「すみません……」 老紳士「そんなに怒らない、怒らない」 見かねた老紳士が割って入る。 タケシ「なんだ、てめぇは」 老紳士「パチンコにいくら買った?」 タケシ「てめぇに関係ないだろ」 老紳士「いいから、いくら買った? いくら買った?」 タケシ「聞いて驚くなよ。……5万」 老紳士「それで、今までいくら負けた?」 タケシ「余計なお世話だよ」 老紳士「いいから、いくら負けた? いくら負けた?」 タケシ「人がせっかくいい気持ちでいい酒を飲んでるのに……」 老紳士「ごめん、ごめん。……5万、全部飲むのか?」 タケシ「当たり前だろ」 老紳士「あんた、奥さんは?」 タケシ「あんた、なんだよ、さっきから! 関係ないだろ!」 老紳士「いいから、奥さんは? 奥さんは?」 タケシ「……いる」 老紳士「子供は?」 タケシ「いない!」 老紳士「本当に?」 タケシ「なんであんたが疑うんだよ」 老紳士「本当に本当に?」 タケシ「俺に喧嘩売ってるのか!」 老紳士「今日は勝ったと言ってもな、そんなものは負ける方が多いんだ。そんなものに金を注ぎ込んで、奥さんは泣いてるぞ」 タケシ「俺に説教するのか!」 老紳士「早く足を洗って、真っ当な道を歩け」 タケシ「言うな!」 老紳士「子供が出来たら、お前が育てないといけない。パチンコする金があるなら、それを子供のために貯めんか」 タケシ「お前に何がわかる! 職場で毎日毎日怒られて、いいところもなくて、たった一つの息抜きにパチンコして、何が悪いんだ!」 老紳士「他に息抜きがあるだろう」 タケシ「自分より年下の上司に怒られて、どんな顔して家に帰ればいい! パチンコで息抜きでもせんと、俺は嫁に合わす顔がないんだよ!」 老紳士「パチンコ続けて、借金作る方が、よっぽど合わす顔がないだろう」 タケシ「わかってるよ!」 老紳士「借金してお前が自殺でもしたら、奥さんはどんなに悲しむか」 タケシ「それもわかってる!」 老紳士「それなら、ちゃんとせんか!」 タケシ「わかってるけど、やめられない……、やめられないんだよぉぉぉぉぉ……」 老紳士「大丈夫! お前はパチンコをやめられる!」 タケシ「やめたい……、やめたいよぉぉぉぉぉ……」 タケシは、机に突っ伏して泣き出してしまう。 ……が、間も無くそれは寝息に変わってしまった。 バイト「ちょっと、お客さん」 バイトが起こそうとするのを、 大将「いい、いい、今日は客も少ないから、しばらく寝かしといてやれ」 バイト「は〜い」 入り口の戸が開く。 入ってきたのは30代半ばくらいの女(ミエコ)。 ミエコ「こんばん……、いた」 大将「いらっしゃい」 ミエコはタケシに近寄り、 ミエコ「もう、こんなところで寝ちゃって」 大将「あ、おたく、この人の奥さん?」 ミエコ「あの、うちの人が迷惑をおかけしたみたいで」 バイト「なんでここがわかったんですか?」 ミエコ「いつもこの辺で飲んでるのはわかってるんですが、今日は携帯も出ないし、いつも行く店は閉まってたから、色々尋ね歩いて……」 とここまで話して、ミエコは老紳士の視線に気づく。 ミエコ「はい?」 老紳士「い、いや……、奥さんも大変だ。こんな男を亭主にして」 ミエコ「一緒になった時は、こんな人じゃなかったんですが」 老紳士「悪い友達と遊びだしてからでしょう?」 ミエコ「元々、仕事仕事の人でしたけど、一度パチンコを覚えてハマってしまって……、子供も出来たから、いい加減やめてほしいのですが」 バイト「へぇ、奥さん、妊娠してるんですか!」 ミエコ「は、はい。うちの人にはまだ言ってないですが」 バイト「さっき、こちらのお客さんが言ってたんですよ。『本当に子供いないのか?』って」 ミエコ「本当ですか?」 老紳士「ま、まぁ……」 ミエコ「あの、どこかでお会いしたことがありますか?」 老紳士「い、いや……」 ミエコ「うちの人にどことなく似てる気がして。ひょっとして結婚式に来られた親戚の方かも、と思って」 老紳士「わ、私は初めての初対面ですよ」 バイト「初めてだから初対面って言うんですよ」 老紳士「あ、あぁ……」 大将「(バイトに)おい、あんまりお客さんを困らせるな」 バイト「は〜い」 老紳士、この空気を変えるように、 老紳士「そうだ、いい方法がある」 大将「何をですか?」 老紳士「私が友達から聞いた方法だがね、これを仕掛けられて、友達がすっぱりパチンコをやめた方法がある」 大将「どんな方法ですか?」 老紳士「ちょうどその友達もパチンコで大勝ちして酔っ払って寝てしまったところ、起きてた連中が共謀して『夢にしてしまおう』と。パチンコに勝ったのは夢にして、それに浮かれて現実で飲み食いしたってことにしたのよ」 大将「どうなりました?」 老紳士「男は落ち込んでなぁ。『パチンコで勝ったのは夢の中だと気付かずに、それに浮かれて現実で飲み食いしてしまった。俺は夢と現実の世界の区別もできなくなった。情けない』と。それ以来、男はすっぱりパチンコをやめた」 大将「なるほど」 ミエコ「そんなに上手くいくでしょうか?」 老紳士「酔っ払いって、そんなもんだから、上手くいく上手くいく」 大将「なら、こういうことにすればどうでしょう?」 老紳士「はい、どうぞ」 大将「どうせなら、起きたら時間が進んでて、16年後になったという設定はどうでしょう?」 老紳士「16年後?」 大将「私たちも『16年経った』という芝居をして、うちのバイトは生まれてきた子供が成長した姿ということにして、『お父さん、パチンコやめてね』と言わせるのです」 バイト「大将、私、そんな芝居はできませんよ」 大将「(タケシを指して)この人のためだから」 バイト「芝居手当つけてください」 大将「芝居手当?」 バイト「今日の時給2倍で」 大将「お前は人助けというものがわからんのか?」 バイト「なら、家計が苦しい私のうちも、芝居手当で助けてください」 大将「ちゃっかりしてやがる」 老紳士「よし、そうと決まれば、芝居だ。時計とか、カレンダーを仕舞って」 一同は、時計やカレンダーといった「今」がわかるアイテムを仕舞う。 バイトも、エプロンを外す。 老紳士「よし。それなら奥さん、起こしてください」 ミエコ「はい」 ミエコ、タケシを起こす。 ミエコ「起きて。あなた。起きて」 タケシ、目が覚める。 タケシ「あ、あぁ……」 ミエコ「こんなところで酔い潰れて、迷惑かけてどうすんの?」 タケシ「いま、なんじ?」 ミエコ「10時よ、夜の」 タケシ「そうか……」 ミエコ「美玲も心配してついてきたのよ」 タケシ「そうか、美玲もか……、……美玲?」 タケシ、がばっと起きる。 タケシ「美玲って、誰?」 ミエコ「あんた、自分の娘の名前も忘れたの?」 大将「美玲ちゃん、お父さんを起こしてあげな」 バイト「わ、私が?」 バイト、美玲としてタケシに近寄り、 バイト「お、お父さん、私が美玲です」 タケシ「お前が美玲か?」 バイト「私が美玲です」 タケシ「……どっかで見たことあるような顔」 老紳士「そりゃ、自分の娘だから、毎日顔を合わせてるだろう」 タケシ「そうだよなぁ。……そうなのか?」 ミエコ「もう、自分の娘の顔もわからんくらいに飲んで、情けない。うちのどこにそんなお金があるのよ」 タケシ「どこにお金って、俺はパチンコに勝って……」 ミエコ「いつ、パチンコに行ったの?」 タケシ「いつって、今朝からずっと……」 ミエコ「昨日の夜、職場の忘年会だったわよね?」 タケシ「う、うん……」 ミエコ「今朝、二日酔いで夕方まで寝てて、それでいきなり起きて、『迎え酒だ』って飲みに出たの、覚えてないの?」 タケシ「……だっけ?」 ミエコ「私が『どこに飲みに行くお金があるの?』って聞いたら、『パチンコに勝ったから、その金がある』って言ってた。あら、この人、最近パチンコしてないのに、いつ行ったのかしらって思ってたのよ」 タケシ「だから、今日は朝からパチンコして……」 ミエコ「今日は朝からずっと二日酔いで寝てたって」 タケシ「あれ? パチンコしてたはずだけど」 ミエコ「ひょっとして、パチンコ行ったのは夢じゃないの?」 タケシ「夢?」 ミエコ「もう、あんたはパチンコばかりしてるから、パチンコ行く夢見て、そして勝った夢見て、それで現実でこんなに飲み食いして、……情けない!」 大将「美玲ちゃんも情けないよな?」 バイト「へ?」 大将「情けないよな?」 バイト「……な、情けない!」 タケシ「パチンコ行ったのが夢で、飲み食いしたのが現実。……これは情けない!」 老紳士「だったら、奥さんと娘のために、パチンコはやめるね?」 大将「美玲ちゃんからもお願いして」 バイト「……お父さん、パチンコはもう、やめて」 大将「(小声で)もっと感情込めて」 バイト「パチンコはやめて!」 大将「(小声で)お父さんに抱きついて」 バイト「ちょ、ちょっと、なんでそこまでするんですか!」 大将「(小声で)娘だから」 バイト「……(小声で)芝居手当上げてくださいね」 大将「(小声で)考えます」 バイト「お、お父さん!」 バイト、一世一代の演技でタケシに抱きつく。 ミエコもタケシに抱きつく。 タケシ「もう、すっぱりやめる!」 ミエコ「ありがとう!」 バイト「あ、ありがとう!」 親子3人、感動の絵。 タケシ「お前たちには迷惑かけたなぁ。……だけど、俺に娘がいた?」 老紳士「まだ夢の中にいるみたいだ。もう一眠りしたらいかがかな?」 タケシ「そうか。だったら、遠慮なく……」 タケシは机に突っ伏して再び寝てしまう。 大将「上手くいった!」 ミエコ「本当にありがとうございました!」 老紳士「いやいや、よかった、よかった」 バイト「大将、私の芝居手当、ちゃんとはずんでくれるんでしょうね?」 大将「わかってるって」 ミエコ「(老紳士に)もしよければ、お名前を教えていただければ」 老紳士「いや、名乗るほどの者でも……」 ミエコ「そこをなんとか……」 老紳士「人は私を、『遊び人の金さん』と……」 ミエコ「……(大将に)この人の名前は?」 大将「いや、私も知らないんですよ、今日、初めて来られたから。(老紳士に)教えていただけますか?」 老紳士「越後の縮緬問屋の隠居で、光右衛門と……」 バイト「……名前、教えていただけませんか?」 老紳士「……わかりましたよ。本当は教えてはいけない決まりになってるので、誰にも言わないと約束してくれませんか?」 大将「約束します」 バイト「私も。秘密手当貰えれば」 大将「この人に金をせびるな」 バイト「大将にもらいますから、大丈夫」 大将「おい」 老紳士「特に(タケシを指して)この人には秘密に」 ミエコ「うちの人には言えないことなんですか?」 老紳士「実は、私は、……16年後からきた、色川タケシです」 大将「は?」 バイト「誰?」 ミエコ「色川タケシは私の亭主、つまり、(タケシを指して)この人です」 老紳士「そうです」 大将「信じられん」 バイト「何か証拠があるんですか?」 ミエコ「うちの人には背中に般若の刺青が……」 大将「え!」 バイト「え!」 老紳士「え!」 ミエコ「ないです」 バイト「ないのかよ!」 ミエコ「いや、『ある』ってノったら、偽物かと思って」 老紳士、いきなり脱ぎ出す。 バイト「ちょっと、なにしてるんですか」 大将「般若の刺青はなくてもドラゴンのTATTOOがあるとか……」 老紳士、肩をだして、 老紳士「ここにほくろがあるはず」 ミエコ「あんまりうちの人の肩見たことないから……」 老紳士、肩をしまって、 老紳士「じゃぁ……」 と免許証を取り出して見せる。 バイト「最初から免許証見せればよかったでしょ」 ミエコ、まじまじと見て、 ミエコ「生年月日も一緒」 大将「おいおい、本当に16年後から来たのかよ」 バイト「俗に言うタイムマシンというやつで来たんですか?」 老紳士「16年後にはタイムマシンが開発されています」 大将「想像できん」 老紳士「私も想像できないことだけど、本当のことなのです」 バイト「でも、夢がある話」 老紳士「ミエコ……」 老紳士、いきなりミエコに抱きつく。 ミエコ「きゃっ!」 大将「あんた、人の奥さんになにするんだ!」 老紳士「『人の奥さん』って、私の妻でもあるから」 大将「ま、まぁ、そうだけど」 老紳士「『女房と畳は新しい方がいい』と言うが、やっぱりそう思うわ」 バイト「なに、この人、若い時の奥さんにセクハラしに来たわけ? 夢のない話」 老紳士「違います。私は、昔の自分を叱りに来たのですよ。さっきの友達の話というのは、実は昔の自分のことだったのです。昔の自分がやられたことをやってみたのです。ちょうど、このような居酒屋だったと思うのですが……」 バイト「あの、ずっと奥さんに抱きついたままだけど、いい加減、離れません?」 老紳士「ああ、ごめんごめん、つい……」 老紳士、ようやくミエコから離れる。 老紳士「タイムマシンに民間人も乗れると聞いて、真っ先に思い浮かんだのは、パチンコをすっぱりやめるきっかけになった、この日のことでした。昔の自分に『もう、パチンコはやめろ』といつかは言わないといけないと思って、この日に来たのです」 ミエコ「そうだったんですか」 大将「しかし、これからたった16年の間にタイムマシンができることも驚くけど、こうして民間人も乗れるようになるなんて、ずいぶん進化するもんだね」 老紳士「いやいや、16年後もまだまだタイムマシンは高いのですよ。この時代でいう世界一周旅行くらいの金額です」 バイト「そんなにお金を稼ぐようになったんですか?」 老紳士「そこです。実は、競馬で万馬券を当ててね」 ミエコ「……競馬?」 ミエコの顔が曇る。 老紳士「パチンコやめてから、隠れてやってるのです。あ、賭けると言っても、何百円ですよ、毎回。いつものように賭けたら、これが大穴で1000万近くになって、どうせあぶく銭だから、なんかパーっと使おうと思って、タイムマシンを思いついたのです」 ミエコ「は、はぁ……」 老紳士「ご心配なく。本当にちびちびしか賭けてないから。家庭には迷惑かけてないから。子供も3人、ちゃんと学校に行かせてるから。今日知ってしまったミエコも、見て見ぬふりしてくれると助かる」 ミエコ「は、はぁ…………」 老紳士「そしたら、そろそろ時間なので戻りましょうか。では」 老紳士、店から出ていく。 ミエコ、その場にへたり込む。 ミエコ「私はこの人と一緒にいて、幸せになれるんでしょうか?」 大将「ま、まぁ、未来のあの人が幸せそうだったから、大丈夫じゃないですか?」 ミエコ「自信がなくなってきました……」 バイト、苦笑いのまま固まっている。 今の時代のタケシは、イビキをかいて寝たまんま。 【糸冬】
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