コンセントが抜けたマグロ

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【砂ぼこり】 次の街へいこうと 荷物を背負うと身動きが取れず またひとつバスにおいて行かれた。 少年が睨んでいる。 「裏切りもの」 おもわず落とした本からのぞく いつ撮ったかもわからない写真 写真の少年は微笑んでいた。 あの頃側にいてくれた、もういないあの人と。 刺すような雨も、握りしめたガラスも あの人への言葉も すべて置いてきたのに。 「ただ何かになりたかった」 おもえばバス停のベンチも随分色褪せた。 今、風が砂ぼこりをあげる。
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