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【はじめての約束】
「ごめんね」
彼女の言葉の意味がわからずただ戸惑った。
どんな意味にもとらえられた。
怖かった。
後悔したくも、されたくもなかった。
今だけはいっしょの夢にいてほしかった。
まるでタイムスリップかのような幻夢だとしても。
「どうして謝るの?」
「はじめてはあなたにって約束…」
「そんなの…まだ覚えてたんだ」
星が昇って、霜が降りて。
僕らの世界は回るのに。
青春時代の約束は
二人の世界を止めていた。
僕だけだと思っていた。
こんなに忘れられないのは。
僕だけだと思っていた。
他の誰かといるのが苦しいのは。
堕ちていく。
再会から世界が動き始めた。
錆びついた歯車は悲鳴をあげ
その狭間に多くを傷つけ、少しを救い
夢の中へ
堕ちていく。
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