<美優>

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<美優>

月曜日、仕事から帰るとまずは母さんがミスるといけないからと離婚届を二部もらってきてくれた。 その後、凌太から連絡があり美優についてわかったことを教えてくれた。 小野寺美優 セントエルモス高校の3年生だと言うことだ。 尾行でアパートも確認済みで今は家に帰っていると言うことだった。 「だったら今から行ってもいいかな?言質を取りたいことがあるんだけど」 そう言うと、探偵から送られてきたアパートの外観と住所をラインで送ってもらった。 両親に伝えると、一緒についてきてくれると言うことでいざみゅーちゃん家に突撃だ! 住所をカーナビに入れ、その通りに車を走らせると写真に写っているアパートにたどり着いた。 父親には車の中で待機してもらい、母と一緒に部屋に向かった。 呼び鈴を押すと美優の母親らしい人が出てきて、夫と不倫をしていると伝えると最初は憤慨していたが、写真を見せると美優を大声で呼んでいた。 美優は私を見て驚いて、インスタでは強気だったのにとても大人しくなっていた。 母親も急にブランド品を持ったり、お金をたくさんもていることに疑問はあったが放置していたとのことだ。 ただ私にはそんなことはどうでもいい、正人がこの子と不倫をしていることは確かなことだから、確認したいのはたったの一つ。 「セントエルモス高校3年ですよね?」 「なんで知ってるのよ」 「学校には言わないけど学生証の写真だけは 取らせてくれる?そうすれば警察にも言わない、だってこれはれっきとした売春ですよ」 「あ、愛し合ってるもん。結婚してくれるって言ってるもん」 「そもそも、妻帯者と知った上で一度寝るごとにお金をもらっているのに、売春じゃないっていうのは通じないと思う」 てか、この場合正人は買春および淫行だけど。 流石に美優の母親が、美優を諭して学生証の写真を撮ることに成功した。 もう用はないが、もう一つ聞きたかった。 「なんで、正人と結婚したいの?」 「だって、大学に行く頭もないけど仕事はしたくない。だからまーくんと結婚して専業主婦になりたいの」 一瞬顔を上げた美優の母親の顔が歪んでいた。 そう言う事ね、でも 「残念だけど、正人の年収だと専業主婦は難しいわ、あなたに貢ぐ事が出来たのは私といるからこそできた事だし私のお金も混ざっているから、それでは」 ずっと頭を下げていている美優の母親に「娘さんはこれからの人生が長いのだから、善悪をきちんとわからせた方がいいです。あと、未成年とはいえ不貞行為に対する慰謝料請求はさせてもらいます」と声をかけると母親は顔を上げた。 「慰謝料!」 先に声を上げたのは美優だ。 母親は隣で小さく慰謝料・・・と呟く。 「娘さんのおかげでたくさんの不貞行為の証拠写真を手にすることができましたから」 「おばはん卑怯すぎ」 美優の母親は興奮して悪態をつく美優の頬を叩くと「黙りなさい」と怒鳴りつけた。 「そちらの旦那さんがうちの娘をたぶらかしたんですよね、どうしてうちだけが慰謝料を払わないといけないんですか」 「不貞行為は二人が行った事です。ただ、そちらが淫行と買春で正人を訴えるなり慰謝料請求するなりは好きにしてください、それでは」 立ち上がろうとしたら少しよろけてしまい母が支えてくれた。 思った以上に精神にダメージを受けているようだ。 玄関を出たところでずっと黙って隣にいてくれた母が「がんばったね」と言って抱きしめてくれた。 裏切られるのは本当に苦しい。美優が自分のしたことに気づく日は来るんだろうか。
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