<責任>

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『瞳、どうした?何かあったのか?』 何かあったのか?じゃない! 「ねぇ、正直に答えて」 『え?』 「パパ活の相手って何人居たの?」 『いきなり何?』 「答えて」 『みゅーちゃんだけだよ』 みゅーちゃんだぁ!もう関係無いけど、イラっとする。 「じゃあ風俗とか行っていたわけ?」 つい言葉に出してしまったが、数人の通行人が私を振り返ったのをみて慌ててトーンを落とす。 「複数の女性とそういうことしてたの?本当の事を言って」 『信用を無くしているからアレだけど、本当にそんなことしてない』 嘘ばかりだったから、今更私に誠実になるつもりは無いのかもしれない。 ここのところ正人の事を思い出すことが多かったから声を聞いたら気持ちが揺れることがあるかもしれないと思ったけど揺れるよりも熱いものがグツグツと煮えてきた。 「美優との連絡をブロックしてる?」 『うん、もう会うつもりは無いし』 「美優の両親から連絡があったんだけど、話があるらしいから連絡して」 『でも』 「もし、連絡がこなければ警察に行くって言ったけど、それじゃあ伝言を伝えたから」 『え・・そ』 話を聞くつもりは無いから何かを言おうとしていたが通話を切った。 はぁ 気分が落ちる。 きっと今は、何をしても気分は上がらない。 クラミジアのことを調べてみた。 不妊になる可能性があると書かれている 怖い そろそろ子供の事を考えようと思っていた時に不倫されて・・・ 性病まで 帰宅すると母が心配していた。そりゃ、いきなり血相変えて家を飛び出していけば、何かあったんじゃ無いかと思うのは当然で、でも結果が出るまでは言わないでおこう。 バスタブに顔の半分まで浸かると目を瞑る。 しばらくすると息が苦しくなって顔を上げた。 悪いことばかり考えるのは止めよう。 部屋に戻ってベッドにダイブすると、その反動で体が少し浮き上がる。 うつ伏せのまま手を伸ばしてスマホを手にすると凌太からメッセージが入っていた。 [今日は謝罪の場をありがとう] どういたしまして こちらこそありがとう どっちも違うし、むしろ返事に困るから[おやすみ]とだけ返信した。 大学に入学して暫くすると気がついたら凌太が近くにいた。 初めて会った時、授業中になんとなく視線を感じて横を向くと目が合った。 ずっと見ていた? 気持ち悪い これが第一印象だ。 その後、女性が部屋に誘いに来てそっけなく答えていたのが最悪だと思った。 でも、その後よく会うようになってランチを一緒に食べているうちに悪印象は無くなって遊園地に誘ってみたんだっけ。 コーヒーカップは面白かった。 今でも思い出せるぐらい、何かを話そうしていたけどハンドルを回すのが楽しくてグルグル回したら遠心力で凌太の首が飛んでいきそうになっていつもスカしていた人の面白い姿が目に焼きついている。 あの日、観覧車で告白されたんだよね。 高校時代にも“彼”と名のつく人はいたけど、可愛らしいキスをする程度だった。 はぁ 昔の思い出に浸るとか本当に参っているだろうな 里子に聞いてもらおうか
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