再愛

＜責任＞

毎日、忙しく宇座課長のモラハラ発言もBGM程度になったが、課長のデスクに行くときは何となくスマホの録音機能をオンにするようなった。

検査結果もまだかまだかと思っているうちに木曜の夜になり今日も連絡が無かったと思っていたら正人から連絡があった。

『ごめん瞳、あの・・・その』

美優と話をしてクラミジアのことを聞いたんだろう。

「どうしたの」
つい、冷たい声色になってしまう。
正人がバカみたいなことをしなければ、こんなに苦しんだり、不安になったりしなかった。

『びょ、びょ』

「はっきり話して」

急に泣き声が聞こえてきた。
いや、もう泣きたいのはこっちだから。

『ごめん、病院に検査に行って。本当にごめん。この間、瞳が聞いた意味がわかったよ。オレは本当に小野寺としかしてないんだ。小野寺に他にもパパがいてそいつから貰って、オレも病院に行ったんだけど、精神的なものだと思っていた事が性病の症状で』

この間までみゅーちゃんとか言っていたくせに、小野寺って名字呼び捨てになってる。
他の男からの性病リレーをくらって流石に現実を見るようになったのかもしれない。
てか今、重要なこと言ってなかった？！

「自覚症状があったの？」

『うん、トイレに行くたびになんか痒かったりしたんだけどそのうち、アレが腫れてきて・・・小野寺に連絡を取ったら性病の治療費を払えって。オレじゃないのに』

何を言っているんだろう、オレじゃないって関係を持っていたのは本当だし、そもそも
「避妊をしないでしていたの？」

『それは・・・』

「あなたは大人で小野寺さんを止めないといけない立場だったでしょ。年を知らなかったって言うけど本当は薄々気がついていたんじゃいの？そもそも、結婚している人がしてはいけないことをしていたんだから、全てが正人の責任でしょ。私は小野寺さんの両親から連絡があった日に検査に行ったから、まだ結果はわからないけど、それじゃあ」

避妊しなかったんだ。
私とはレスだったのに、あの子とはシてた。避妊せず、子供ができたらどうするつもりだったんだろう。
声も聞きたくなくて通話を切った。

もう吹っ切れたと思った、だけどまだ事実を知るとこんなに辛い。
お願いだからこれ以上私を巻き込まないで、苦しめないで。