その2

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その2

「しずまって人が嫌いなの?」 「嫌いだと思う。どっちかというと。」 「ふーん、私は人がすごく好きだよ?仲良くしてくれる人なら誰でもほんと大歓迎だし。たくさんの人と繋がって、いろんな世界のいろんな人と友達になれたら絶対楽しいだろうなって思う。…そんなの全部意味ないけどね。」 「なんでそこで急に元気なくなるの?相変わらずわけわかんないな。まぁでも、全てのことに意味なんかないんだって僕も思うよ。人間は意味を求めすぎなんだよきっと。」 「あれ何か話変わった!けど求めすぎ、ってどういうこと?」 「自分が生まれた意味とか、今ここにいる理由とか、この人と出会ったのは、別れたのは、ここでこんな目にあってるのはどうして?ってなにかと追求したがるよなーって。それで、自分探しの旅にでちゃったりとかして。」 「うわ、絶対バカにしてる。いいじゃん、素敵じゃん!自分探しの旅!」 「バカにはしてないよ?ただ、それで何か見つかるならいいけど、大概答えなんか出ないでしょ。結局一生堂々巡りで悩むことにならないかなって。」 「あ〜。そうだねぇ。確かに私も一つ一つに意味なんかないと思う派ではあるかも。私がしずまと出会ったことだって、単にそういう流れだっただけっていうか、たまたま偶然って感じで。そこに未来に通ずる意味なんかないんだと思ってるよ。」 「うん。僕もそう思う。」 「思ってるけど。でも、意味があるって思ったらなんかやっぱ嬉しいよね。そんなことない?」 「そんなもんかな?あんまりわかんない。」 「なんでもそう思った方が楽しいし、思わないと人生なんかやってられないんじゃないかな。誰だってせっかくなら生まれてから死ぬまではなるべく楽しく過ごしたいし、充実させたいと思うでしょ?嘘でも自分自身になんか意味を見出せたほうが幸せじゃない?ってこと。」 「…そう言われたらなんとなくわかる気はする。それって辛い時とかにすがる神様が欲しいのと似てるのかな。僕は神様信じてないけど。」  いつか誰かが言っていたように、神にすがることで自分の考え方が変わってポジティブに生きられるようになったとすれば、それは本人にとって幸福なことなのかもしれない。けど誰もがそう簡単に崇拝できる神に出会えるわけではない。  だから、うまくいかなかったり辛いことがあったりした時に、自分の存在そのものとか、今置かれてる状況に何か意味があるって人は思いたいのかな?確かにそう思うことでなんとか乗り切っていくのが人生なのかもしれないな。  本当に意味があるのかないのか、なんてことはそんなに重要じゃないんだきっと。  そしてそれは神様についてもたぶん同じことで。大事なのは本当にいるかどうかってとこじゃないんだって気がした。  でもまぁどうであっても僕は無神論者だし、死ぬまでそのつもり。  「…なんか、みんなただ幸せに生きていきたいだけなのにね。」 「そうそう。でもそれだけのことがどうしてかとても難しい。ってなんか今日は僕たちえらく深い話をした気がする。」 「ほんとだよー。恋愛以外を語ったらなんか肩凝っちゃった。」 「とりあえず今日の日記もテキトーに書いといたから。」 「早い、さすが!いつもありがと。」  "静真といろんなものの「意味」について深く語った。全てのことに意味はないかもしれないけど、意味があると考える方が人生楽しいから人は意味を求めるんだろうって結論に至った。恋愛以外を語ったから肩が凝った。"
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