②13番目の呪われ姫はときめきの過剰摂取をご希望です。

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「というわけで伯爵、私トキメキ過剰摂取で心停止やってみたいです!!」  はいはい! とベロニカはとても元気よく暗殺される事を希望した。 「…………で、俺にどうしろと」  しらーっと冷めた表情の伯爵の前にベロニカはドサドサっと沢山の本を置く。 「図書館から話題のロマンス小説を借りて来ました! コレやってみてください」  ワクワクっと楽しそうを全面に押し出したベロニカは小説のページを指差して、 「このシーンとか、キュンしかないって言ってました!」  調べておきましたとドヤ顔で語る。 「誰が言ってたんですか、それ」 「え? お姉さまのお茶会に来てた令嬢たちですよ。あとは、宮仕の侍女とか!」 「へぇ、姫社交とかされるんですね」  ボロボロの離宮を見る限り、てっきり王家総出で冷遇しているのかと思っていたと伯爵は意外そうに口にするが、 「いいえ? お菓子とシルバーちょろまかすのに忍び込みました。暗殺命令出ている姫なんて呼ぶわけないじゃないですか」  と笑い飛ばされた。  隠密行動得意なんですと胸を張って自慢されても正直コメントに困る。 「で、姫はコレ読んでどう思ったんです?」  代わりに差し出された本に視線を落とした伯爵はベロニカに尋ねる。 「えっと、奇特な方もいらっしゃるんだなって」  どうしてこんな返しになったのか私には理解できなくて。素敵な感性ですね、なんて微笑むベロニカを見ながらパタンと本を閉じてそっと置いた伯爵は、 「それが全ての答えだよ!!」  できるかぁーーっと全力でツッコむ。 「何!? それ誰得? 俺の火傷確じゃねぇか!! アンタただ楽しんでるだけだろ!!」 「ふふ、怒りつつも本を投げないあたりがさすが伯爵です」 「こんな高級品投げられるかっ!! 弁償する金がない」  本は貴重品なんだからなとそっと本を返す伯爵を見ながら、 「ふふ、じゃあ早く私の事殺して褒賞貰えるといいですね。目指せ借金完済!」  そう言ってベロニカは笑った。 「あ、ジャム! そろそろできたかもしれません」  コトコト煮ていたジャムの存在を思い出し、ベロニカはパタパタと作業を再開する。  いい出来ですね、と味見をしたベロニカは満足気に頷く。 「いい匂いですね」  匂いに釣られた伯爵が顔をのぞかせた。 「でしょ? ちょっとお待ち下さいね」  伯爵へのお土産分を用意しようとベロニカは戸棚のドアを開け台に乗り背伸びをしてビンを探す。  あった、っと手を伸ばしたところで、ベロニカの足が滑り、戸棚から鍋だの瓶だのと仕舞って置いたモノが大量に降ってくる。  あっと思ったベロニカは反射的に目を閉じた。
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