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咲桜中学二年(十四歳)
「「メリークリスマース!」」
炭酸ジュースのコップを、笑満と合わせる。
「ほら、頼も写真じゃなくてコップ持って」
笑満の部屋に広がるクリスマス装飾を写真に収めていた頼が、笑満に言われて自分の席に戻る。
今日クリスマスイブは土曜日で、朝から三人でお菓子を買いに行ったり、部屋の飾りつけをしたり、笑満主導でケーキを作ったりしていた。
笑満のおうちを会場にさせてもらっているので、笑満のご両親の分も、二つケーキを作った。
「めりくり」
真顔でそう言って、ごくごく飲みだす頼。
「頼は年末年始も通常運転だね」
私が頬杖をつきつつ言えば、笑満はチョコ菓子をかじりながら大きく肯く。
「それが頼だよ。咲桜、クラスのクリパ行かなくてよかったの?」
「ブーメラン。私が行っても珍獣扱いだし」
私もクッキーをほおばる。
「正しくは珍獣の飼い主でしょ。あたしも、変にみんなの機嫌うかがうよりはこっちのが楽だから」
「俺は声すらかけられてない」
頼が、特段落ち込んでもいない声で言ってきた。
「あ、一応気にはしてたんだ」
「ううん。咲桜と笑満が行くんなら行こうと思ってた程度」
「じゃあこの三人クリパでよかった、と」
「そういうことだね」
「そういうこと」
笑満の言葉にそろって肯く頼と私。
私たちも中学二年のクリスマスなわけで……ちょっと訊いてみよう。
「笑満は彼氏ほしーとか、ないの?」
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