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今日は特別な日!
世の中には、特別な一日というものがいくつも存在する。
誕生日だとか、結婚記念日だとか、お迎え記念日だとか、デート記念日だとか。
まだ子供の僕達兄弟も、そういった記念日はとても大切なものだと理解している。
誕生日なんか本当に楽しい。ママが買ってくれるケーキは格別だし、結婚記念日もご馳走のおすそ分けがあって大好きだ。
でも。
そんな多くの記念日も、今日という日の喜びには叶わないだろう。
今日は特別な日だ。何故ならば。
「じゃあ、ママは出かけてきますからね。いい子で留守番してるのよ?」
「はーい!」
僕と弟は、いい子の返事をした。
そう、今日はママが夜まで日帰り旅行をする日。
僕達兄弟だけで、お留守番が出来る日なのだ!
「……行ったな?」
「うん、行った」
「よっし!」
玄関を出たママの足音が遠ざかっていったのをしっかり確認。僕と弟は顔を見合わせ、にやりと笑ったのだった。
「兄ちゃん、ママがいないから、一日遊んでも怒られないよ!何して遊ぶ?」
僕達だけになったリビングをぐるっと見回して弟が言う。それを聴いて僕は。
「そりゃあもちろん」
そそそそそ、と窓に近づき、言ったのだった。
「カーテン登り競争でしょう!!」
ひらひらの白いカーテンに、ばりばりばり!と爪を立てて登り始めたのだった。
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