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それから数時間。
告白、つまり「隠していた心のうちを打ち明ける」ことを要求された蔵林は、自分の人生における隠し事を、すべて洗いざらいぶちまけていたわけなのだが──
「うん、駄目だね。頑張って話してくれたみたいだけど、行きつけのサウナも好きなAVもネット上でやばいことつぶやきまくってるアカウントも、全部知ってる」
三日月は、組んだ腕をほどかぬまま頷いた。長いまつげを伏せて憂いの面持ちを浮かべている彼女は、見惚れるような美しさだ。
しかし、気になる点がひとつ。
力なく床に座り込み、蔵林はぼんやりと三日月を見上げていた。
「なんでそんなに、俺のことを知ってるんですか・・・・・・」
ぼそりと口にした言葉は、しかし、三日月のあまりにもあっさりとした返答によって遮られた。
「そりゃ知ってるわよ。だって私、あなたのストーカーだもの」
***
蔵林は床にへたり込みながら両手で頭を抱え、弱々しい声で三日月に物申していた。
「ストーカーって──なんで俺のことを」
「当然でしょう。私が君に対して、それほどの興味関心と抗いがたい魅力を感じたからよ。まあ、趣味の人間観察が少々行き過ぎてしまったのだと思えばいいわ」
「はあ・・・・・・?」
妙に抽象的な物言いをして、三日月は得意げに鼻を鳴らした。
それから両手を広げ、意気揚々と言い放ったのである。
「さあ、蔵林くん。生きているうちに、この私に告白しなさい!」
高らかに告げられた言葉に、蔵林は再び、うへぇと呻いて頭を抱えた。
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