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かの日、二人で日々を
そんなこんなで、蔵林は世にも奇妙なことに付き合わされ始めた。
「途中で諦めたら、君の秘密のすべてを公開する」と脅されたがために。
***
「『告白』── 好意を寄せる人に自分の気持ちを伝えること。愛の告白。もしくは、隠していた心の中を、打ち明けること」
満月が家々を照らす深夜。自室の机の前で、蔵林はパソコンの画面を凝視しながら、苛立たしげに爪をかじっていた。
「隠していた心の中、か・・・・・・」
日中、三日月の言っていた言葉を思い出してみる。
彼女は自分を、日夜監視している。ゆえに、蔵林陸也という人物について知らないことはほとんどない。
だからこその、「告白をしてほしい」なのだ。彼女はそう言っていた。
「そんなにされたいなら、まず盗聴とか止めてくんないかなあ」
本人に直接聞こえていることを前提に、蔵林は声を張り上げる。しかし当然返事はない。
なんだか馬鹿らしくなって、口を閉じた。
要は、彼女に知られぬように「秘密」を作ればいいのだ。
それは、モノでもヒトでもコトでも構わない。ただ、彼女にバレさえしなければいいのである。
「ったく、非能動的な告白とかもはや告白じゃねえだろ・・・・・・」
蔵林は、壁に埋め込まれている盗聴器に音が拾われないよう、小さく呟いた。
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