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耳にかかる吐息の熱さに、クリストファーは微かに息を詰めた。どうしてこう、イタリア人というのは臆面もなく愛を囁くのだろう。抱いてもくれないくせにと柄にもなく拗ねてみせたなら、マイケルは絆されてくれるだろうかと、暗い視界の中で馬鹿なことを考える。
「あまり甘い言葉を囁くなよミシェル、我慢できなくなる」
瞼を閉じたまま囁けば、身じろぐ気配とともに耳朶を齧られた。次いで聞こえてきた声は、欲情に甘く掠れたマイケルの声。
「……しなくていい」
おざなりに躰をぬぐい、バスタオルを羽織っただけの姿でマイケルは寝室へと運ばれた。ふわりと寝台の上に下ろされる。
「クリス……」
求めるように伸ばされた腕の中へとクリストファーはその身を投げた。以前に比べれば多少逞しく感じる腕が躰を抱きとめる。囲うように両手をついて見下ろすマイケルを、クリストファーは寝台の上から見上げた。
「早くお前に抱かれたい」
「っ少しくらい大人しく待っていられないのか?」
諫めるような言葉を吐きながらも、のし掛かってくるマイケルの躰を受け止める。
脇腹を辿る手が熱かった。首から胸元に降りる唇も、マイケルのすべてが熱を持ったように熱い。
やがて下肢へと降りたこげ茶色の頭がゆるりと持ち上がり、欲に濡れた瞳がクリストファーを見上げた。
「ッ、ミシェル……」
名前を呼べば、それが合図だとでもいうように、マイケルの端正な唇が雄芯を食んだ。
「ッ……ぅ」
口腔の熱さに息を詰める。まるでマイケルの熱が伝染したかのように、クリストファーの下芯は熱く反り勃った。
「気持ちが良い、ミシェル……ッ」
無意識に伸ばされたクリストファーの手がこげ茶の髪に潜り込む。髪を掴もうとしては躊躇う指先を、マイケルは掴んだ。
手を取られたまま熱い口腔に雄芯を舐られる。
「ち、が……そこじゃ、……な、あッ」
欲しい刺激を与えられないまま屹立を攻め立てられ、自身の後孔がもどかしくひくつくのを自覚した。
雄芯を食んだまま、僅かに顔を上げたマイケルが問い掛ける。
「後ろ、弄って欲しい?」
「っ欲しい」
すぐさま答えるクリストファーに、マイケルはふっと笑って見せた。
「クリスが前だけで上手に出せたら、な」
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