La France et le Royaume-Uni.

6/8

106人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
 碧い瞳が真っ直ぐハーヴィーを見つめていた。嘘だと切って捨てるには、あまりにも真剣なロイクの表情が逆に可笑しい。 「私は、あなたと離れるつもりはない」  静かで、けれどはっきりとしたハーヴィーの声が部屋に響く。 「ハーヴィー……」 「つまらない感傷に浸っている暇があるのなら、早く私を楽しませてくれないか、ロイ?」  整った(おとがい)に指をかける。ゆっくりと唇を合わせるハーヴィーを、碧い瞳が嬉しそうにじっと見つめていた。 「目くらい閉じろ」 「嫌だね」  短く否定するロイクの唇に、ハーヴィーは齧り付いた。合わせられた唇から、どちらともなく笑いがこぼれる。 「愛している、ロイ」 「僕も、君を愛してる」  臆面もなく囁いて、ハーヴィーはロイクの上に倒れ込んだ。逞しい腕がハーヴィーの躰を抱き留める。ぴたりと寄り添う肌が途方もなく熱かった。  触れ合った場所から熱が侵食してくるようで気持ちが良い。安堵にも似たハーヴィーの吐息は、すぐさまロイクに飲み込まれた。 「ぁっ……っ」  深く合わせた唇から入り込んだ舌先に呼吸を奪われハーヴィーは息を喘がせた。背中に回された腕を解かれて、ようやく自由を取り戻す。 「ロイ……」 「ねえハーヴィー、ちょっと後ろを向いてくれる?」 「なにを……っ!」 「いいからほら、僕に乗られるよりはいいだろう?」  さらりと告げたロイクの腹筋が引き締まる。次の瞬間にはもう、ハーヴィーは寝台の上に囲われていた。 「っ、待てロイ!」 「待ってあげたら、君は僕を甘やかしてくれる?」 「分かったから、そこを退け!」  寝台に突かれたロイクの腕を、ハーヴィーはベシベシと遠慮なく叩いた。 「痛いよハーヴィー……」 「この程度あなたにとって訳は無いだろう」 「君は、僕が痛みも何も感じない機械だとでも思っているのかな?」  やれやれと、肩を竦めながらもロイクはハーヴィーの上から退いた。寝台の上に座り込んだロイクの下肢へと手を伸ばす。 「こんな我儘な機械があって堪るか」 「その分性能は良いよ」  ハーヴィーは返事の代わりにロイクの分身へと指を絡ませた。この男のペースに合わせていたら、あっという間に夜が明ける。  ゆるく勃ちあがる熱へと唇を寄せる。口腔に含めば間もなく質量を増す雄芯を、ハーヴィーは愛し気に頬張った。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加