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しばらくふたりで笑い合った後、フレデリックが微かに肩を震わせた。
「寒いかよ?」
「少しね。……辰巳があたためてくれる?」
問いかけながらも自ら身を寄せるフレデリックの肩を辰巳は抱いた。耳元に低く囁く。
「部屋に入ってもいいんだぜ?」
「意地悪……」
途端に甘ったるい空気を纏うフレデリックを抱きとめ、辰巳は僅かにヒーターの方へと身を寄せた。背凭れに無造作に掛けられたブランケットを掴みあげる。
「キミの腕の中はあったかい」
ブランケットを膝に掛けてやりながら、肩口に寄り添う金色の頭を辰巳は見下ろした。大柄なくせに甘えるフレデリックはどこか滑稽だが、今さら嫌いになれるはずもない。それどころか妙な色気を振りまくものだから参ってしまう。
すっかりケーキのなくなった皿を確認して、辰巳はフレデリックの躰を膝の上へと抱えあげた。
「穏やかなのもいいけどな」
「うん?」
されるがまま膝の上に乗ったフレデリックの碧い瞳が辰巳を見下ろした。
「どうせそれだけじゃ満足しねぇんだろ?」
「さすが僕の旦那様はよくわかってらっしゃる」
さすがに十二月の夜に屋外でイタすのはどうかと、辰巳が立ち上がろうとすれば態勢を入れ替えられる。
「ッ、……お前な」
「ヒーターがあるから寒くないだろう?」
「そういう問題かよ」
「今度庭にプールを作ろうか。温水なら冬でも泳げるよ」
「阿呆か。くだらねぇこと言ってねぇでさっさと脱げ、このタコ」
相変わらず雰囲気もへったくれもない会話を交わし、ふたりはあっという間に冬空の下に裸身を曝した。淡く照らされた引き締まった体躯がいつもよりも艶めかしく映る。
「早く、キミで満たされたい」
「だったら大人しくしてろ」
ソファに腰を下ろしたまま、辰巳はテーブルからオリーブオイルの瓶を取りあげた。くすりと笑うフレデリックの目の前で、自身の下肢へと無造作にぶちまける。
「……冷てぇ」
「ふふっ、すぐにあたためてあげる」
節の高い指が辰巳の下芯へ絡みつく。長い脚が軽々と腰を跨げばぐちゅりと卑猥な音が腹の間に響いた。
すぐさま欲を滾らせる雄芯を満足そうに見下ろして、フレデリックが自ら腰を落とす。いつもより熱く感じる襞が屹立を食んで、辰巳は微かに息を漏らした。
「っ、硬い……」
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