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初詣
「凄い人だね」
「結人、迷子になるといけねぇから、しっかり手繋いでろよ」
「うん。あれ? 朔、りっくんが居ない····」
「え····。まぁ······そのうち連絡来るだろ」
「結人、こっちの手は俺な。ちゃんと前見て、場野の後ろついてけよ?」
「うん。でも、りっくんが····」
「大丈夫だって。子供じゃねぇんだから──あ、ほら電話かかってきた」
「啓吾、りっくん何処にいるって?」
「ちょっと待ってな。あっち、人少ないとこズレようぜ」
「んわっ!? ちょっ、啓吾何してんの!?」
「これと言って目印もねぇし、莉久が『ゆいぴだったら一瞬で見つけれる』って言ったからさ」
「だからってこんな人混みで抱っこなんかヤダよ!!」
「あははっ。ちょっとだけな」
「お、莉久来たぞ。本当に見つけれんだな」
「アイツ、マジでキモいな」
「いたいた〜。ごめんね、ゆいぴ。ちょっとしたアクシデントでさ」
「どうしたの? 何かあった?」
「女の子がさぁ──」
「浮気かよ」
「違ぇよ!! 場野煩い! ちっさい女の子! 迷子だったみたいで、俺の服引っ張ってきたんだよ。お父さんのコートと同じ色だったから間違えたみたい。んで、急いで迷子センターに届けてきたんだよ」
「さっきの放送の子か! りっくん、その子のヒーローだね。えへへ、なんかカッコイイね」
「俺は絶対ゆいぴを迷子になんてさせないからね」
「迷子だったんお前だろうが」
「あはは。まぁ、仕方ないよね。りっくん、お疲れ様」
「ホントびっくりだったよ。まぁ、俺で良かったよね。間違えたのが場野だったら、女の子泣いてるよ」
「ははっ、確かにな。似たような色のコート着てるし危なかったな」
「ぁんで俺だと泣くんだよ。迷子くらい処理できるわ」
「迷子を処理とか言わないの····。八千代、人混みだと機嫌悪いから子供は怖がっちゃうかもね」
「機嫌悪ぃわけじゃねぇよ。お前がもみくちゃにされねぇか心配なだけだわ」
「心配性なんだから····。って····え、それで眉間に皺寄せてたの? でっかい皆に囲まれてるんだから大丈夫だよ」
「横には俺と大畠がついてるからな。莉久が後ろからハグれなかったら、結人がモマれることはねぇだろ」
「そんでも、結人が見えねぇと心配なんだよ。人混みだといっつも俺が前歩かされっからな」
「そっかぁ····。だったら、定時連絡しようか?」
「····あ? 定時連絡って何だよ。一緒に居んだろ」
「後ろからね、定期的に『大丈夫だよー』って言うの」
「「「「ぶはっ····」」」」
「なんで笑うの!? 僕が大丈夫なのわかったら、八千代も安心できるんじゃないの?」
「ははっ····そうだな。そりゃ安心できっけどな、絶対笑うわ」
「だからぁ、なんで笑うの!?」
「可愛すぎんだよ」
「んっ!? やち、八千代!? こんな所でキスしちゃダメでしょ!?」
「デカイのに囲まれてんだから見えねぇよ」
「ホントにもう····。ほら、もう行くよ! 早くお参りして何か食べるんだから!」
「ははっ。結人真っ赤〜」
「啓吾のばかぁ! もう····早く手繋いでよ!」
「はいはい。んじゃ、行きましょうか、姫様」
「姫じゃないもん。皆はホントに王子様みたいだけどさ。他所のお姫様に連れて行かれちゃダメだよ。ね、りっくん」
「大丈夫だよ〜。ほら、ちゃんと前向いて歩いてね」
「心配だなぁ····。後で神様にお願いしなくちゃだよ」
「結人、神様じゃなくて、後で直接俺らにお願いしてくれ。絶対叶えてやるからな」
「朔····、王子スマイルでこっち見ないで。今、顔隠せないんだから····」
「ふはっ、後でもっと顔熱くしてやるからな」
「君らねぇ、人混みでする会話じゃないでしょ。朔、結人が可哀想だからやめたげなさい」
「おう、わりぃ。場野ん家戻ったら、またドキドキするような事いっぱい言ってやるな」
「ひぅっ····。朔、耳元で言わないでぇ」
「んなトコで結人蕩けさせてんじゃねぇぞ。帰るまで我慢しろ」
「おう、わりぃ」
「朔、そればっかじゃ〜ん。絶対反省してねぇわ」
「もういいから、早く行こうよぉ。僕、なんか熱いよ····」
「ん。よし場野、進め」
「俺は馬か! 黙ってついて来いや」
「おう、わりぃ(笑」
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