初詣

1/1
前へ
/42ページ
次へ

初詣

「凄い人だね」 「結人、迷子になるといけねぇから、しっかり手繋いでろよ」 「うん。あれ? 朔、りっくんが居ない····」 「え····。まぁ······そのうち連絡来るだろ」 「結人、こっちの手は俺な。ちゃんと前見て、場野の後ろついてけよ?」 「うん。でも、りっくんが····」 「大丈夫だって。子供じゃねぇんだから──あ、ほら電話かかってきた」 「啓吾、りっくん何処にいるって?」 「ちょっと待ってな。あっち、人少ないとこズレようぜ」 「んわっ!? ちょっ、啓吾何してんの!?」 「これと言って目印もねぇし、莉久が『ゆいぴだったら一瞬で見つけれる』って言ったからさ」 「だからってこんな人混みで抱っこなんかヤダよ!!」 「あははっ。ちょっとだけな」 「お、莉久来たぞ。本当に見つけれんだな」 「アイツ、マジでキモいな」 「いたいた〜。ごめんね、ゆいぴ。ちょっとしたアクシデントでさ」 「どうしたの? 何かあった?」 「女の子がさぁ──」 「浮気かよ」 「違ぇよ!! 場野煩い! ちっさい女の子! 迷子だったみたいで、俺の服引っ張ってきたんだよ。お父さんのコートと同じ色だったから間違えたみたい。んで、急いで迷子センターに届けてきたんだよ」 「さっきの放送の子か! りっくん、その子のヒーローだね。えへへ、なんかカッコイイね」 「俺は絶対ゆいぴを迷子になんてさせないからね」 「迷子だったんお前だろうが」 「あはは。まぁ、仕方ないよね。りっくん、お疲れ様」 「ホントびっくりだったよ。まぁ、俺で良かったよね。間違えたのが場野だったら、女の子泣いてるよ」 「ははっ、確かにな。似たような色のコート着てるし危なかったな」 「ぁんで俺だと泣くんだよ。迷子くらい処理できるわ」 「迷子を処理とか言わないの····。八千代、人混みだと機嫌悪いから子供は怖がっちゃうかもね」 「機嫌悪ぃわけじゃねぇよ。お前がもみくちゃにされねぇか心配なだけだわ」 「心配性なんだから····。って····え、それで眉間に皺寄せてたの? でっかい皆に囲まれてるんだから大丈夫だよ」 「横には俺と大畠がついてるからな。莉久が後ろからハグれなかったら、結人がモマれることはねぇだろ」 「そんでも、結人が見えねぇと心配なんだよ。人混みだといっつも俺が前歩かされっからな」 「そっかぁ····。だったら、定時連絡しようか?」 「····あ? 定時連絡って何だよ。一緒に居んだろ」 「後ろからね、定期的に『大丈夫だよー』って言うの」 「「「「ぶはっ····」」」」 「なんで笑うの!? 僕が大丈夫なのわかったら、八千代も安心できるんじゃないの?」 「ははっ····そうだな。そりゃ安心できっけどな、絶対笑うわ」 「だからぁ、なんで笑うの!?」 「可愛すぎんだよ」 「んっ!? やち、八千代!? こんな所でキスしちゃダメでしょ!?」 「デカイのに囲まれてんだから見えねぇよ」 「ホントにもう····。ほら、もう行くよ! 早くお参りして何か食べるんだから!」 「ははっ。結人真っ赤〜」 「啓吾のばかぁ! もう····早く手繋いでよ!」 「はいはい。んじゃ、行きましょうか、姫様」 「姫じゃないもん。皆はホントに王子様みたいだけどさ。他所のお姫様に連れて行かれちゃダメだよ。ね、りっくん」 「大丈夫だよ〜。ほら、ちゃんと前向いて歩いてね」 「心配だなぁ····。後で神様にお願いしなくちゃだよ」 「結人、神様じゃなくて、後で直接俺らにお願いしてくれ。絶対叶えてやるからな」 「朔····、王子スマイルでこっち見ないで。今、顔隠せないんだから····」 「ふはっ、後でもっと顔熱くしてやるからな」 「君らねぇ、人混みでする会話じゃないでしょ。朔、結人が可哀想だからやめたげなさい」 「おう、わりぃ。場野ん家戻ったら、またドキドキするような事いっぱい言ってやるな」 「ひぅっ····。朔、耳元で言わないでぇ」 「んなトコで結人蕩けさせてんじゃねぇぞ。帰るまで我慢しろ」 「おう、わりぃ」 「朔、そればっかじゃ〜ん。絶対反省してねぇわ」 「もういいから、早く行こうよぉ。僕、なんか熱いよ····」 「ん。よし場野、進め」 「俺は馬か! 黙ってついて来いや」 「おう、わりぃ(笑」
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加