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ホッとする。
おっと、いかん。今度こそ消音にしよう、と再度スマホを手に取る。
だが……。
なんだこれ?
きちんと消音になっていた。では、さっきのはなんだ?
少しだけ、背筋がぞわりとする。
きっと酔っているから、何かの間違いだ……。
深く考えるのをやめた。改めてベットに身を預け、瞳を閉じる。
しかし数分後……。
電話だ。スマホが鳴っている。
どうなってんだ……? 伸也はのろのろと上体を起こし、スマホを手に取る。
モニターには、沙梨の笑顔。しかたなく出る。
「ヤッホー、伸也、元気?」
夜中に不自然な、明るい声。むしろ気味が悪いくらいだ。
「元気じゃねえよ。何時だと思っているんだよ」
「いいじゃん、どうせ、明日暇なんでしょ?」
「一体何の用だよ?」
不機嫌さを隠さずに言った。
「ちょっとね、忘れてたことがあって……。あと、声が聞きたくなった」
「ふざけんな。時間を考えろ」
「つれないなぁ、前はいつ連絡しても応えてくれたのに」
そう、以前はそうだった。彼女は時間など気にせず、いつでも気が向いたときに連絡してきた。つきあっている頃はそれを面倒に思いながらも、楽しくもあった。
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