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スマホが鳴っている……。
伸也はベットの上で舌打ちした。意識はまだ微睡みの中だ。
仲間とかなり飲んだ。明日は大学も休みだし、バイトもないので、朝のんびりできる。だから、夜中まで飲み続けていた。
うーん、と唸り、泥のようになった身体をもぞもぞと動かす。
おかしいな……?
泥酔していたとは言え、通知音や電話に眠りを邪魔されないよう消音にしていたはずだ。
怪訝に思いながら、スマホを手に取る。
薄目を開けて、モニターを見た。そこに、見覚えのある顔の映像……。
沙梨……。
ウインクしている彼女の顔。これは、まだつき合っている頃に撮った写真だ。
何だよ、今頃……。
この写真を撮ってから、1ヶ月と経たないうちに別れていた。
どちらも相手を真剣に思っていたわけではない。いわゆる遊びに近い。軽い気持ちでつきあい始め、適当に遊んだ。そういう関係だったはずだ。
沙梨は仲間内では奔放な女と見られていた
伸也もどちらかというと、一人の女に縛られるのを嫌う。いわゆる遊び人だ。
出るかどうか迷った。面倒くさい。眠い……。
時間を確認すると、夜中の2時半だ。
いいや……。
伸也はスマホを放り投げた。すぐに諦めるだろうと思い、また眠りにつこうとする。
案の定、呼び出し音は消えた。
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