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02.考えれば考えるほど、不安が
康生は今日もそんな憂鬱な気分に襲われる。
康生はあと一週間足らずで、大学のある遠くの大きな街へ引っ越す予定。
第一志望の大学に無事合格し、高校も卒業した。あとは引越しの荷物をまとめて、大学の入学のためにこの街を出発するだけ。
本当なら、太陽の光が満ちた明るい春になるはずなのに、なんで不安ばかりが大きくなるんだ?
康生はもう一度深く息を吐き出し、モンスターを追い払おうとする。
それでもモンスターは簡単にはここから去ってくれそうもない。
康生は海洋学者に憧れている。水族館で魚たちの研究をしたり、あるいは船に乗って海へ乗り出し、深海に生きる未知の生き物を探したい。
そのために、遠い大都会にある大学の合格をつかみ取った。
でも、康生の胸にやってくるのは心配や不安や恐怖。
ひとことで言えば、大学という未知の世界が怖いのだ。
大学で友達ができるだろうか? 大学の勉強についていけるだろうか? 遠い大都会でのひとり暮らしは大丈夫だろうか? 悪い人間に騙されたりしないだろうか?
そんなことを考えれば考えるほど、不安が募る。
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