02.考えれば考えるほど、不安が

1/1
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

02.考えれば考えるほど、不安が

 康生は今日もそんな憂鬱な気分に襲われる。  康生はあと一週間足らずで、大学のある遠くの大きな街へ引っ越す予定。  第一志望の大学に無事合格し、高校も卒業した。あとは引越しの荷物をまとめて、大学の入学のためにこの街を出発するだけ。  本当なら、太陽の光が満ちた明るい春になるはずなのに、なんで不安ばかりが大きくなるんだ?  康生はもう一度深く息を吐き出し、モンスターを追い払おうとする。  それでもモンスターは簡単にはここから去ってくれそうもない。  康生は海洋学者に憧れている。水族館で魚たちの研究をしたり、あるいは船に乗って海へ乗り出し、深海に生きる未知の生き物を探したい。  そのために、遠い大都会にある大学の合格をつかみ取った。  でも、康生の胸にやってくるのは心配や不安や恐怖。  ひとことで言えば、大学という未知の世界が怖いのだ。  大学で友達ができるだろうか? 大学の勉強についていけるだろうか? 遠い大都会でのひとり暮らしは大丈夫だろうか? 悪い人間に騙されたりしないだろうか?  そんなことを考えれば考えるほど、不安が募る。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!