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七歳の誕生日を迎えた年の秋の終わり。
私は、幼少の身ながら、それはもう荒れ狂っていた。
今思えば、
それこそ「生きて動く呪いの塊」のような状態だった。
人と生まれて、まだほんの七年ぽっちしか生きていない、
未だまともに神様の掌の上を脱し切れていないような年齢の子供を指して、
「荒れ狂う」だの、「呪いの塊」だの…と形容するのは、
ちゃんちゃら可笑しい、臍が茶を沸かすと仰る方もおいでかも知れない。
当の私本人も、
もしあれが自分の身の上に降り掛かったことなんかじゃない、
全くの他人事、丸っ切り自分に関係ない出来事だったなら、
そして、その前後の事情を全く一切知らなければ、
或いはそう言い切ったかも判らない。
事の起こりは、その年の、秋のお彼岸も過ぎた九月の末、
そろそろ日が落ちた後に外に出る時には、一枚薄手の羽織物が欲しい…と、母や大伯母が言い出す時分のことだった。
週末、日曜日だったのを記憶している。
朝早く、
お彼岸過ぎの、夏の盛りに比べて遅くなった夜明けの時刻よりも少し前、
やっと夜の底がしらしらと明け白むような
正に「人の音せぬ暁」という時間帯のことである。
七歳の子供としては、そんな時間帯には当然のことながら、
安らかにして健やかなる眠りの中にいた私は、
当時同居していた大伯母に、突然揺すり起こされた。
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