ティムのケーキ配達

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 一年にこの時期だけ開いているおかしな店です。店が開いているのは今日まで。確かに今日はケーキを買いに行く暇はなさそうです。 「ケーキの配達でーす」  ティムが声をかけると、中から茶色い髪をふわふわと四方八方に伸ばした背の高い青年が出てきました。 「やぁ、ありがとうありがとう。寒かったでしょう!入って温かいお茶を飲んで行ってよ」 「え、いや次の配達もあるので」  断ろうとするティムの背中を押して、青年はティムを店の中へ連れて行きました。  そこには見たこともないような不思議な形の物がたくさん置いてありました。  古くて汚い人形も、最新のおもちゃも、何に使うのか分からないへんてこな機械も、すべてがティムの方を見ているように感じます。 「ここはクリスマスプレゼント専門店、ニコラのお店だよ。配達のお礼になにかひとつプレゼントするって、ニコラさんが言ってるよ。さぁ選んで!」  にこにこと青年は両手を大きく広げています。  その向こうに起きているのか寝ているのか分からない長い白ひげの老人が椅子に座っていました。
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