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ティムのケーキ配達
今日はクリスマス・イヴ。街はたくさんの飾りと暖かなキャンドルの光、響き渡る聖歌、そして甘いケーキの香りで満ちていました。
めったに雪の降らないリオルの街にも、朝から大粒の雪が舞い降りていました。
この日を楽しみにしている子どもたちが、雪の中を駆け回る中、ひとりだけ、つまらなそうに顔をしかめた男の子がいました。
名前はティム。ティムの家は町一番のケーキ屋さん。今日は一年でも一番忙しい日です。
「ティム、配達に行っとくれ」
「配達なんて断わればいいじゃないか」
ティムは思わずそう文句を言いました。お店のお客さんに聞こえやしないかと母親はティムを裏手に引っ張って行きました。
「来たくても来れない人もいるんだ。今日くらいは配達もしなきゃ」
母親の声にティムはケーキの入った箱を両手に持って店をしぶしぶと出て行きました。
「あーあ、みんなは今日から冬休みだっていうのに、なんでボクだけ配達なんか」
一件目の配達先は町外れの小さなクリスマスプレゼントを売る店でした。
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