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「何かネタになるかもってね。」
「というより、こんな寒いんだからジャンパーでも掛けてやれよ。兄貴だろ」
「はいはい、そう説教するなっての。マジメだなぁ」
「さっきまでは、あんだけ怒ってたくせに」
兄は腕を組んで、小さく舌打ちした。
タイガは着ていたジャンパーをメメに掛ける。程なくすると、彼女は意識を取り戻した。
「痛てて・・・・・・」
メメは後頭部を押さえながら起き上がった。
「おい、大丈夫か」
タイガが妹の肩に手を添える。
「あたし、あれ? ここはどこ。あなたは誰なの」
メメはどこか芝居がかった口調でいった。
「メメ。ま、ま、まさか、記憶がないのか」
「あたしは一体誰なの~!? ・・・・・・なぁーんてね」
「だろうな。ダハハハハ」
錦生兄妹は肩を揺らしながら、欧米人のように悠々と大笑いしている。
何なのこの二人。綾月は鼻から息を漏らした。
そんな中でも、聡志はメメに状況を説明した。一人この公園で倒れていたこと、我々がたまたま通りがかって様子を見ていることを。
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