釣り大会

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「うわっ!」 思わず声がもれた。まずい、想像以上の大物だ! 飛行艇が雲の中に引きずり込まれそうになる。どう対処していいか分からず、全身がじりりと汗ばんだ。 その時、背後から声がした。 「ロッドを立てて、風下に回り込んで!」 驚いて振り向くと、そこにはケルンの姿があった。 思わず息を飲んだ。その真剣なまなざしに、一気に過去へと引き戻されたような感覚に陥る。 「はっ、はいっ!」 つい、反射的に返事をしていた。 ロッドを両足に挟み、左手で保持し、右手で飛行艇を操作する。けれど片腕の力で太刀打ちできる相手じゃない。 すぐさまロッドを両手で支える。 「飛行艇の操作、無理です!」 「じゃあ俺に任せてくれ、お嬢さん」 ケルンは自身の乗る飛行艇を近づけ、固定ベルトを外した。立ち上がり飛行艇を揺らすと、タイミングを狙ってレイラのほうに飛び乗った。 着地の衝撃で飛行艇が大きく揺れる。ケルンはレイラが座するシートに背後から抱きついて難を逃れた。その力強い腕の感触がレイラに伝わる。 早鐘を打つレイラの胸が、さらに疾走する。 ケルンは操縦席に回り込み、自身の固定ベルトの端を艇身に留めた。コレクティブレバーを握り、船の動きを操る。 「風下に向かって船を滑らせる。タイミングを合わせてラインを巻き上げて」 「やってみます」 ケルンは飛行艇を旋回させて船頭を風下に向け、雲の淵ぎりぎりを滑空する。 同時にレイラはラインを全力で巻き取る。 「障害物の中に逃げ込まれたら厄介だ。船の推進力で相手を雲から引きずり出す」 「わかりました!」
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