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―――
「大好き!」
「な、何だ、急に……」
途端に真っ赤になる横顔に、胸が苦しいくらいに高鳴る。どくどくと脈打つ鼓動が生きているんだという現実を教えてくれた。
「キス……して?」
彼に負けず劣らず真っ赤になる顔。だけど今、して欲しかった。
「友成……」
初めて呼ばれた自分の名前が特別なものに聞こえてまた涙腺が緩んだ。
「……愛してる、友成。」
「僕もです……」
振り向いてくれた顔はいつもの表情と違っていて。そしてあの時彼女に見せていた顔とも違ってて。
あぁ、僕にだけ見せてくれる顔なんだな、と思いながら目を閉じた。
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