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―――
彼は暇さえあれば僕の所に来てくれた。何か悩んでるのなら言えと言ってくれた。
ちゃんと見ててくれたのに。見てなかったのは僕の方だった。
「ごめんなさい、章さん……」
「友成……」
ギュッと抱きついて頬にキスをする。彼は最初は驚いていたようだったけど、それに答えるようにもう一度キスをしてくれた。体が密着する。
「今日からまた、始めないか。」
「え?」
「好きだ。付き合って欲しい。」
「……はい。」
少し震えた声の告白。彼の心臓の音が聞こえてきて、僕はそっと微笑んだ。
「友成……」
「……はい。」
彼が次に何を言うか何となくわかって、僕の体は少し強張った。
「……いいか?」
「はい。貴方になら僕の全部、あげたい。」
「……ありがとう。」
ゆっくりと体が離れていく。そしてそのまま押し倒された。
二人分の体重で軋んだベッドの音が、何処か遠くに聞こえた。
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