1.私について

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この話をみてくれてる人の中で本質ってなに?って思った人がいてもおかしくないね。 私の思う本質、は価値観や考え方だと思って聞いていてほしいな。 周りの人との調和を全く考えなかったときの、本当の自分。 それを個人の本質っていうと思うんだ。 もちろん、例外はあるしどの場合でもってわけではないけどね。 私の本質を語る上で_____間違いなく 命の価値観が真っ先に挙げられるね。 まずはっきりと言ってしまうけど、私は命の大切さが全くわからない。 なんでこんな人になってしまったのか、それも私にはわからない。 最初はこんなではなかった。 どこからか、狂った。 いつからか、ぷつんと何か糸のようなものが切れたような気がして_____。 小学生のときから、道徳の授業を受けるたび、疑問は深くなっていくばっかりだった。 命を大切にしなさい 自殺してはいけない とかそんなことを何回もラジオを聞き流すみたいに聞いていた。 とくに面白みもなかったからか。 それとも_____。 いつからかは覚えてないけど、先生の話をいくら聞いても全く響かなくなってしまったのは確かだ。 小学生低学年のときの記憶なんて霞がかってほとんど思い出せないけど______少なくとも六年生のときには既に「命は軽いもの」って見るようになってたのかも。 あ、もしかしたら少しだけ心当たりがあるかもしれない。 確かあれは私のひいおじいちゃんのお葬式のとき_____ そのときはわけもわからずにただ泣いていた。死ぬっていう言葉の意味を理解していなかったからかな。 当時の私はただ漠然と死ぬって言葉を理解した気になってたのかもね。 白い棺に入ったひいおじいちゃんに花を添える人たちを見て、なんでありがとうって言わないんだろ、とか思ってたよきっと。 ひいおじいちゃんはもう動かないんだよって言われて凄く驚いた記憶があったから、多分死ぬって言葉を冬眠と同義だと思ってたんだよ。 おそらくこのときが死を知らない幼い少女だった私が初めて死を理解した瞬間だったんだよね。 周りの見知らぬ大人や両親の泣き顔を見てもらい泣きしたってことはよく覚えてる。 そして私は気づいてしまったんだよね。 人が一人死んでも世界は 何も変わらないってことに。 私が今死のうが、世界は何もなかったかのように変わらず当たり前のように動いていく。 その事実が幼い私にとってどれほどショックだったのか_____それは知る由もないけど。 ひどく落胆したことは覚えてる。 人が一人死んでもどんなに悲しむ人がいたとしても、時間は残酷に過ぎていく。 その事実が悔しくて悲しくて仕方なくて私はただ泣いていた。 私は幼いときから理由をつけれないものにも理由をつけたがったから、好奇心旺盛の賢い子ではあったと思う。 逆に幼い頃に賢すぎたから今こんな価値観なのかもしれないって思うと、賢いばかりがいいってわけでもないって感じちゃうね。 でも自分の考えをしっかりもってるという面ではいいことなのかな_____。 あ、私の思う“賢い”は勉強ができる、ってわけじゃないんだよ。 私は人のことを理解して認められる人、価値観を認められる人とか、そんな人のことを賢いって思ってる。 だって勉強は努力さえあればできるようになるけど、答えのない問題に対して自分なりの答えを考えて見つけ出せるってものすごく素晴らしいことだと思わない? 私はその答えは他の人と似通っていたとしてもその人自身が考えたことだから、とっても素敵だと思うの。 だからこの話を熱心に聞いてくれてるあなたにも理解してほしいし、認めてあげてほしい。 それが私がいつも思ってることなんだ。 でもね、 人の価値観を認めるって本当に難しいこと。 だから認められたらあなたは一人前の人だって_____胸張って言えると思うよ。
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