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冷たい視線に一瞬たじろぐ皇后だが、それでもなお叫んだ。
「お前がっ、陛下を死に追いやったのだ!!」
「そうかもな。それでも直接手を下したものが裁かれる。それが世の理だ、『皇后陛下』」
もしも自分が生まれなければ、国王と皇后、そして息子と仲のいい国王家族だったかもしれない。それでも、自分は生まれてしまった以上、簡単に死んでやるつもりは毛頭ない。
「開けろ」
そばにいた衛兵にそう言い放ち、国王の寝室のドアを開けさせた。瞬間、ドアを開けた衛兵は「うっ」と顔をゆがめ、アレックスはその異臭に目を細めた。
空気が煙るほど炊かれた香、それに混じるのは明らかな死臭。
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