誰かの決意

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「でも、きっと母様も私がこの国の王女になることは望んでいないでしょう」  あれは母ではなかったかもしれないけれど、少なからず彼女の意志はあったはずだ。勿論、娘である自分を彼女は愛してくれていたと思う。けれど、それ以上に望んだのは、この世界を変えること、だったのかもしれない。 「だからといって、娘の死を望んだわけではありません」  それも事実だから、フィーネはディランの言葉に頷いた。 「大丈夫です。死にたいわけではありません。ここまで足掻いたのだから最後まで足掻きます。この国の王女として、アレックス様の代理として、この国を守ってみせます!」  彼女を見つけた時は貧相で、少しつつけば自ら死を簡単に選んでしまうような小娘だったのに、今では胸を張り先ほどのセリフを吐く。  これが成長でなくてなんだというのだろう?  それをディランは誇らしく思いながらも、彼女の言う通りにするわけにはいかない。
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