誰かの決意

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「それではこちらも動きましょう。祝勝会も簡素ながら終えましたから、まずは教会の修復からです。それをあなたと教皇、両名の名のもとに行うことによって、国民の士気も高まるというものですから」 「分かりました。私も一緒に働きます! お掃除くらいならできると思うんです!」  両手の拳を握りしめてそう答える彼女に、ディランは苦笑いした。 「フィーネ、確かにその方が国民も喜ぶかもしれませんが、他にもやることがたくさんあります。まずは今回味方についた貴族たちの優遇措置、褒賞の配分、神官たちの昇級や配置、そして、戦争被害の把握も行いながらそれらの財源も確保しなくてはいけません。さらには周辺国との国交を再開し、友好関係を築きつつ防御ラインの再構築から──」  ディランの口からはこれからやるべき仕事が、次から次へと溢れていく。最初こそ神妙な顔で「はい! はい!」と答えていたフィーネだが、あまりの多さに目がまわるほどだ。
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