399人が本棚に入れています
本棚に追加
「話したいことは山ほどあるのですがね、それはあとにしましょうか。それで国王陛下はどちらに?」
「そっ、そなたになんぞ会わぬ! 卑しい腹から生まれた人間の分際で──」
国王の寝室の方向に視線を動かせば、皇后が焦るように口を開く。
「もう死んでるよ、アレックス。うん、死後1週間ってところかな?」
彼女の言葉を遮るように、ノアはさらりとそう言った。
「……そうか。死因まで特定できるか?」
「僕は検視官じゃないよ」
嫌そうに顔を歪めるノアに、「そうか」と苦い笑みを浮かべてアレックスは歩き出した。
「へ、陛下は自害なされたのじゃ! お前のような息子を持ったがゆえに苦労が絶えずっ」
その声に、アレックスは足を止め振り返る。
「お互い様だろ?」
最初のコメントを投稿しよう!