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そして、今日も二人の首を切る。これから彼らに加担した貴族たちの裁判も続々と終わり、同じように処刑承認の判を押すだろう。
「それに、生き残った方が幸せかどうかなんて、誰にも分からん」
「フィーネには生きろと言ったくせに?」
「それはディランだ。俺は死ねと言ったさ」
「……アレックス、最低」
「知ってる」
最低に冷静に冷酷に、すべてを判断しなければ自分の立場や命が危うい。それほどまでに生きたいか? と聞かれれば答えに困るだろう。けれど、率先して死にたいほど哀れな人生でもない。
「それでも、足掻いてみようと思えるほどの人生なら、多少なり生きる価値はあるかもな」
彼女も、自分も、そして隣に立つ友も──。
「……そんな真剣に答えなくてもいいよ。僕にも生きる価値なんてわかんないし」
「死んだら分かるかもしれんぞ?」
「それ、意味ある?」
「さあな?」
そう答えながら、アレックスは目の前の書類に判を押した。
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