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公開処刑の日は、晴天と呼ぶにふさわしい天気だった。これが雨なら、『天が泣いている』という人もいるだろうか? そんな想像もできないほど、中央広場には人が集まり空気は熱を帯びていた。
「この売国奴がっ!」
「さっさと殺してしまえ!」
怒号の中、凛とした姿勢で歩くのは『前皇后』だ。その彼女の後ろをおどおどと歩くのは、彼女の息子である第二王子、つまりはアレックスの腹違いの弟。
「これより刑を執行する!」
執行官の声に、広場は一層沸き上がり、一種異様な雰囲気を醸し出していた。
広場に響くのは、彼女のこれまでの悪行の数々。それに対し、集まった住民から浴びせられる罵声。
一歩間違えば、あそこに立っていたのは自分だったかもしれない。
そんな思いにアレックスは苦笑する。その姿に皇后は、キッと目を釣り上げた。
「卑しい身分でいつまでもその椅子に座れると思うなっ! お前も地獄に引き釣り落としてやる!!」
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