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グランバルド国は、表向きは平穏な日々を送っていた。
「オーランド様、先日の刺客ですが没落貴族からの依頼を受けたと白状しました」
「ご苦労。フィーネは気付いていませんね?」
ディランの質問に、フィーネの侍女兼護衛騎士であるエリザベスは「勿論でございます」と答えた。
「とりあえず、首謀者を王女殺害容疑で手配してください。生死は問いません」
「すでに手配済みです」
期待を上回る答えに、ディランはフッと笑う。
「ありがとうございます。それにしても少なくなりましたね。前回は1カ月ほど前でしたか。まぁ、まだ気は抜けないと言いたところですが」
「それだけ、この国も落ち着いたということです。これも本国の統治が順調だからですね」
エリザベスの言葉に、ディランは「そうですね」と返す。
「殿下もいろいろ思うところがあったでしょうが、私はこれでよかったと思います」
「……」
ディランの言葉に引っかかりを覚えるエリザベスだが、それを質問する権利は自分に無いことを知っている。だから黙っていると、ディランは少し困ったように笑った。
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