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「ここはジェラルディンではないし、ただの昔話ですから。アレックス殿下は、王位を継ぐ気など無かったのですよ」
「……はい? ですが殿下は第一王子で」
「だとしても侍女の生んだ子です。第二王子の母親である皇后とは身分が違い過ぎる。それを理由に殿下は皇后から嫌がらせを受けていました。だから、殿下は自分の立場を理解したうえで、王宮ではなく乳母である私の家で過ごしていたのです。陛下もそれに口を出すことはありませんでした。もしかしたら陛下も、そう考えていたのかもしれません」
「それでしたら、皇后はなぜあのような行動に?」
その質問に、ディランは首を横に振った。
「分かりません。もしかしたら殿下の優秀さがそうさせたのか、それとも国王陛下から何らかの言質があったのか。今となってはわかりませんが、私はこれで良かったと思っています」
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