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Q4.何故彼は知っていた?
「え?え?待って、菜月から井ノ瀬君に返すように頼んでくれたんじゃないの?井ノ瀬くんは菜月から頼まれたって言ってたよ?」
『へ?実梨から井ノ瀬君に話して頼んだんじゃないの?え?じゃあなんで…』
これは…どういうことなんだろう。
私は頭の中を整理するため、ひとつひとつ状況を振り返った。
何故だか井ノ瀬君は、私が菜月に教科書を貸していることを知っていた。
そして私が帰りに菜月から教科書を受け取り忘れて帰ったのも知っていた。
更に、私が風邪気味だということも分かっていて、わざわざ教科書を隣のクラスまで取りに行ってくれて教科書その他を家まで届けてくれた、らしい。
…でも、どうして?何のために?
そして、どうやって知ったというのか。
またまた、頭が「?」でいっぱいになる。
『んーまぁ…あれだねぇ。
なんにしろ井ノ瀬君は実梨のこと、普段からよく見てるってことなのかねぇ?』
いいねいいねー、と、元の調子に戻った菜月が囃し立てる。
私にはまだよく分からなかったけれど、菜月の中では何か納得するものがあったらしい。
『実梨が本格的に体調悪いのは私、
分かってなかったしなぁ。
井ノ瀬君からドリンクとかももらったんでしょ?愛されてるじゃーん』
じゃあとりあえずゆっくりよく休むんだよー、と言う菜月の声に、うんありがとう、と朧気に返したように思う。
気が付いた時には既に電話が切れた後だった。
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