ケース➀〜酸素吸おうぜ〜

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ケース➀〜酸素吸おうぜ〜

 俺の鼻水は、緑色に染まっている。  撮りためられた写真を見返しても分かる。  小さな頃から、この小五に至るまで、どの年代の写真も鼻の下に緑のラインを引いている。  まさに、俺のトレードマークだ。  一本の日や二本の日。緑のラインはその時々により変化を見せている。  もちろん、ゼロ本の時だってあった。  俺は、そんな今までを気になどしたことがなく過ごしてきた。  大きく口呼吸をする。  鼻からは、微量な空気しか取り込めないので俺は口での呼吸を得意としていた。普通はこんなこと考えないんだろうけど、おじさんから言われたんだ。 「あんだおめ、鼻で息吸えねーんか? 口が()きっ放しだぞ、あはは」  楽しそうに笑いかけてきたおじさんがそう言ってきたんだ。だから俺はすかさず答えた。 「魚にエラ呼吸があるんだから、俺は口呼吸だ」  だが、いま俺は耳鼻科というクリニックにいる。  名前を呼ばれるまでしばし待機だ。                                           
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